青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間』展を観て

能登地震について、シビアな話を伺い、沈んだ気持になっていました。

さて、年明けのお出かけと、読んだ本について手短な記録です。

 

大変素晴らしい展示でした

 

仕事始め前の最後のお休みに、向島百花園と、上野公園の東京都美術館へ行ってきました。

 

まずは、向島百花園へ。コロナ禍前に行った時以来です。丁度、「春の七草」の展示中でした。こちらでは、皇室へ春の七草を献上しているそうです。

 

快晴でした

春の七草が複数展示されていました

山茶花…かな?

お土産で、「金唐紙」の栞が売られていたので、購入。栞をちびちび集めています。

 

伝統工芸品です。もったいなや~

 

園内で、ふかし芋をいただき、上野公園へ移動します(向島から微妙に遠いんですよね~)。到着後、もう少し食べたい…と、公園内のお土産屋兼食事処で、ビール・おでんで一杯やりました。

 

こういう処になじむんです

こういうのが良いんだよ

そして、東京都美術館へ移動、本日の目的である、『上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間』展を鑑賞しました。

 

素晴らしい展示でした

 

人間以外の動植物を、それぞれのやり方ー絵画・写真・立体作品ーで「うつす」ことに取り組み続けてきた6名の作家たちによる展覧会です。

 

創作・表現活動において、動物や植物という題材は非常にポピュラーなものですが、今回注目するのは、特定のいきものと分かちがたい関係を結び、数十年にわたり高い熱量を絶やすことなく、それらの姿を追いかけ続けた/続けているつくり手たちです。

東京都美術館公式HP 展覧会ページより)

 

本展覧会は、どれも高いクオリティの出品作が見られましたが、私は、版画家の冨田美穂(とみた みほ)さんの作品群に特に感銘を受けました。北海道で酪農ヘルパーとして働きながら、制作を続けられてきたそうです。

 

各作品名は、どれもモデルの牛に着けられた「番号」です

メインの作品は、とても大きい!

作品は大きくても細部の彫りが細かいです

 

大きな作品が多いのですが、細部の彫りが細かくて…彫り上げるのも大変でしょうが、一枚一枚摺り上げるのも凄く大変かと思います(お一人では摺り作業を完了するのは不可能でしょう)

 

子牛も!

 

畜産における牛はペットではなく、"経済動物"です。酪農での乳牛は(ほぼ雌牛であるとして)人間の都合で作り上げられてきた「奇形」であり、生産する乳の量や質が落ちたり、病気となったらすぐ「処分」され、肉や革製品となります。

そんな「彼ら」の現実に、冨田 美穂さんは日々直面しているのだ…と考えると、私は、この作家がただ「可愛い」という感情や愛着だけで、牛をモチーフとする制作に取り組んでいるのでは無いだろう、と言いたいです。

 

色摺りも

 

でも、実際は牛が可愛く描かれていますけどね。スケッチを拝見しても、とても可愛い…作品をちょっと見ただけでの印象ですが、この作家がどれだけ関わった牛たちを愛して、深い敬意と感謝をもって制作しているか、と伝わってきます。

 

おそらく、この作家は牛乳も牛肉も、ちゃんと食べておられると思います(彼らの命を無駄にしないために)。その上で、「彼らの生きた姿」を「忘れないために」作品に残し続けているーそう感じました。

 

作家が自分を紹介する文(冨田美穂氏)

 

丁度、読んでいた小説『シナモンとガンパウダー』でも、関連するような話が書かれていました。ネタバレになるから詳しくは書けませんが、動物愛護の読者なら怒り狂うようなシーンかと思います。でも、私は”生命の循環”として、このシーンを納得して受け止めました。小説内の海賊も、普段生きるか死ぬかの命のやり取りをしているからこそ、この「生命のリレー」を受け入れたのだと思っています。

 

 

閑話休題

 

この『いのちをうつす』展は、他の出品作家たちの作品も、見事でした。小林路子さんのキノコの絵画作品は、撮影不可だったのでお見せできませんが…

 

辻 永 氏の 草花のスケッチ

今井 壽惠 氏のサラブレッドの写真

阿部 知暁 氏のゴリラを描いた絵画

内山 春雄 氏のバードカービング

 

展覧会最後の方では、視覚障害者向けの展示品もありました。手で触って確かめられる(立体的に加工された)写真や、バードカービングの数々(これは、対応する鳥の鳴き声も聞けるようになっていました)。

 

触れるバードカービングの作品

 

展覧会は、(ギリギリですみませんが)~1月8日(月/祝)までです。

 

鑑賞後、感動して会場を後にしました。

さて…これですめばいい話で終わるのですが……ε(・ω・`*)з

 

東京都美術館ミュージアムショップは、昔と違って洗練された商品、可愛いものが売られており、今回も買い物をしました。

 

で、買ったものをその場に忘れて帰りました(汗)出た!ADHD

 

翌日は仕事始めで慌ただしい中、美術館に問い合わせして、届けがあることを確認して(拾って届けて下さった方に感謝)、1月6日(土)に再度取りに美術館まで行ってきました。

 

うわー、また上野公園まで来れた、嬉しいな~(棒)

 

無事受け取れたのは良かったですが、勿体無いので、近くの東京国立博物館の展示をちょっと見てきました。

 

結構外国人もいた

本館エントランス辺り

入口・館内に生け花が飾られていました

ぼけの花かな?

 

大きな企画展は無かったのですが、丁度新年が明けたところで、それに合わせた展示が見られました。例えば、今年の干支の「辰」にちなんで、龍モチーフの書画・工芸品などを拝見することができました。

 

例えば、下図の書は、清朝康熙帝の書らしいです。中々見事な出来だと思います。

 

どういう経緯で日本にきたのでしょうかね

 

会場には、中国系らしき観光客もいたのですが、「 (○’ω’○)ん? 俺たちんとこの文化財じゃねえかコレ?」という顔をしていたような…(笑)

下図は、後陽成天皇の書だそうです。風格ある筆致ですね。

 

字は「龍鳳」…だったかな?

 

他にも色々、見ごたえのある展示品の数々…

 

「如意」元々は孫の手、これは鑑賞用だとか

龍虎対決の屏風の「龍」部分

水滴。鯉が龍に変ずる様を表したらしい…

 

トーハク(東京国立博物館)は、建築や内装を鑑賞してみるのも面白いです。今回、照明やステンドグラスに注目して見ました。

 

階段の要所要所に設置されている証明

展示室天井の照明

素敵なステンドグラス

…という訳で、新春に2回も上野公園に行く羽目になりました。

まあ、これで冨田 美穂氏作の牛イラストが柄となった、てぬぐいを無事持ち帰ることができたから、良いとしましょう!

 

このてぬぐい、美術館に忘れた土産の一つです

やじ馬ならぬ、「やじうし」てぬぐい~

 

それでは、また!