青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』感想

映画『バイオレント・ナイト』、観たかったのに時間が取れないまま上映終了…涙

 

さて、上野の東京都美術館にて開催中の『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』を鑑賞してきたので、手短に感想をあげます。

 

シーレ『ほおずきの実のある自画像』

(※人物画写真は展覧会公式サイトより引用か、ポストカードを撮影)

 

仕事では、年度末進行で滅茶苦茶忙しい日々が続いておりますが、そんな中無理やり平日に休みをとって、観に行ってきましたよ、エゴン・シーレ展。

 

結論を言うと、エゴン・シーレ作では、いくつか良いものが来ていた印象ですが、総数として、他の同時代の画家(中でもココシュカのポスター作品とか良かった)の作品の割合が高かったです。本展のタイトルは「エゴン・シーレとその時代 展」とかにすれば良かったかも。まあ、28歳で亡くなったので、作品数はどうしても少ないのでしょうが…

 

実は、エゴン・シーレは私にとってそれ程好きな画家ではありません。彼の師匠のグスタフ・クリムトの方が好きなくらいです。でも、鑑賞の機会があるなら観ておきたい、そんな位置づけでした。

 

東京都美術館前にて

 

土日祝だと並んで大変だろう(今疲れすぎて並ぶ体力が無い…(´;ω;`))と考えて、平日このタイミングで行ったのが大正解でした。平日午後行っても、そこそこ混んでいました。それに丁度東京では桜の開花宣言が出たところだし、これから上野公園は今よりもっと混むでしょうし。

 

それでも、連日の疲れが溜まっていたせいか(休日も何かしら用事があって息つく暇もない状態)、当日は午後やっと家を出るような状態でした。体調がかなり怪しくて、(シーレ展のために休みをとったけど)「今日はもう行くのやめようか」と何度も思いました…当初は、近隣で開催中の他の展覧会をはしごしようとも思っていましたが、とてもじゃないけれど、無理…

 

でも、「来て良かったな」と思えたのは、シーレ作『悲しみの女』の実物を観ることができたときです。来ていたの知らなかったのですが、今から111年前に描かれた絵。

 

シーレ作『悲しみの女』

 

描かれた『女』の、作り物めいた顔の造形の中で、二つの目だけが、瑞々しく生々しい。「生きたひと」の姿がそこにありました。

 

この絵に描かれたのは、当時シーレの絵のモデル 兼 愛人だったという、ヴァリー・ノイツィルだと言われています。シーレは彼女とは結婚を考えず、中産階級のエーディトを伴侶に選びます。要するに捨てたのですが、そうするとヴァリーは結構貧しい階層の出身だったのかと思います。また、当時美術のヌードモデルを務める女性は、娼婦も同然と思われていた(まだまだキリスト教信仰の支配が強い時代ですし)とか。ヴァリーはシーレの師匠のクリムトのモデル 兼 愛人だったという説もあるそうです。

 

作家の五木寛之さんの昔の小説『哀しみの女』は、この絵『悲しみの女』を重要なモチーフとした内容です。この作品で、『悲しみの女』のみならず、エゴン・シーレやヴァリーのことを知りました。

 

 

シーレは、いかにも五木さんが好みそうな画家で、以下写真の街並みの絵も、エッセイ集の表紙に使っていた記憶があります。

 

これは撮影可な作品だった

 

シーレとヴァリーの話に戻りますが、エーディトとの結婚を決めた後も、ヴァリーに未練たらたらで、「年に1回それぞれと2人でバカンスに行くの、どう?(`・ω・´)シャキーン」などといった妥協案を2人に提示したそうです。もう「お願いだから、今すぐ死んで(ニコッ)」と言いたくなる案件ですね。

勿論ヴァリーはそんな話にはのらず…きっぱりとシーレの元を去り、その後従軍看護師として働いている時に猩紅熱に感染…23歳の若さで世を去ります(´;ω;`)

 

そして、シーレはその翌年、当時流行していたスペイン風邪に感染(パンデミック!)し、それが元で妻(シーレの子を妊娠中だった)ともども死亡することになります。享年28歳…

天罰かな?

 

展覧会の他の出品作についてですが、目玉作品となっている『ほおずきの実のある自画像』は、以外にも小さい作品でした。こんな小さい作品を、看板やポスターでは拡大しているんだ、とおかしい気持ちに。

 

また本展でシーレの作品で一番気に入ったのは、下に画像を掲示した素描『横たわる長髪の裸婦』でした。凄く良いなあと。

 

上手いなあ

 

この絵の画像をtwitterで「この展覧会で一番好きな絵」とつぶやきとともにのせたら、わいせつと判断されたのか、非表示(ログインして「表示」しないと見られない)になっちゃいました。こんなもので…(びっくり)

 

疲れたけど、トータルとしては行って良かったです。

 

シーレ作『リボンをつけた横たわる少女』

それでは、また!