本日は一日中曇りだと言っていたのに、晴れて暑くなったり曇ったり。
さて、8/19の展覧会巡りの報告続きで、東京都美術館『Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる』展、アーツ千代田 3331『ポコラート世界展 偶然と、必然と、』に行った感想です。
本記事でこの日の展覧会感想は最後となります。
8/19に、上野・御徒町エリアで展覧会巡りをしてきました。
東京都美術館にて、『イサム・ノグチ 発見の道』展の鑑賞を終え、そのまま同館内にて開催の『Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる』展へ入場、鑑賞しました。
この展覧会も見応えありました。
本展でご紹介するのは、表現への飽くなき情熱によって、自らを取巻く障壁を、展望を可能にする橋へと変え得た5人のつくり手たちです。彼らにとって制作とは、より良く生きるために必要な営みであり、文字通り精神的な糧(かて)というべきものでした。詩人の吉田一穂(よしだ・いっすい)は「熱情とは砂すら燃やすものだ」と詠(うた)いましたが、彼らのひたむきな情熱も驚くべき強さを秘めていたのです。
(※展覧会公式サイトより)
本展覧会は、映像作家のジョナス・メカスは知っていましたが、他は初めて知る人ばかり…と思っていたらシルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田さんの御主人は、私のちょっとだけ知っている彫刻家さんでした。
個人的には、ズビニェク・セカルの彫刻作品がダントツで良かったです。あの閉塞感とオブセッション。
それから素晴らしかったのは、プロのカメラマンではないのに、住んでいた岐阜県徳山村の写真を「記録のために」アルバム600冊分(!)撮りためた増山たづ子さんの展示。
↓こちらのページでたづ子さんの写真が結構見られます。
村がダムで水没することが決まり、もし出征したきりの夫(インパール作戦でおそらく亡くなられている)が"戻ってきた時に、村がどうだったか見せられるように"と還暦を過ぎてから撮り始めたそうです。
今回展示されている写真は総計10万カットにも及ぶ中のほんの一部でしょうが、村の人々やその暮らしぶり、風景、季節ごとの風物が余すことなく収められています。
もうこのたづ子さんの生き様に圧倒されました。展示されている写真が、またプロの写真家ではないから、サイズも家庭用の小さなものばかり。でもその集積を目の当たりにすると凄いとしか言いようが無い。2006年、彼女が亡くなったその同じ年に、ダムの試験浸水が開始されて、村は水に沈んだ…という話も知り、万感胸にせまるものがありました。
カメラに向けられる被写体の村の人々(皆知っている同士だとか)の笑顔にも心うたれます。
…まあ、私のような自閉症がこんな地域の密接なコミュニティに生まれたら、もう相当な地獄だろうなぁ…他所ごとだから一応は感動して鑑賞しているけれど、実際にこのような場所で生まれ育ったら、死に物狂いで脱出するだろうなあ…とか考えていましたけど。
…というように、鑑賞堪能して、東京都美術館を出ました。
JR上野駅から御徒町駅へと移動します。そこから、この日最後の目的地、アーツ千代田 3331へと徒歩で移動しました。閉校となった中学校を改修して誕生したアートセンターです。
こちらで開催中の展覧会『ポコラート世界展 偶然と、必然と、』を鑑賞しました。
もうこの展覧会も、とても良かったです。濃い一日であったなあ。
『ポコラート』という展覧会は、今回で10回目の開催となるそうです。
ポコラート(POCORART)とは
Place of "Core+Relation ART"
障害の有無に関わらず人々が出会い
相互に影響し合う場所であり、
その場を作っていく行為を示す名称です。
(※展覧会公式サイトより)
あきらかにプロの作家の手になる出品もありましたが、総体として、障害者(精神障害、発達障害、知的障害)の手になるものが印象的でした。後は、普通に働いてきて、年を取ってから創作を始めた人とか。
本展覧会は、会場内撮影禁止なので、作品写真が碌に掲載出来ないのが残念です。
私は、武田 拓 さんという方の『はし』という作品写真に惹かれて、本展覧会へ行きました。
元々はアートとは関係ない作業から生まれたのが面白いです。それを制止せず続けさせた作業所のスタッフさん達も素晴らしい。そして、今はご本人は「はしをさす」ことにはすっかり興味を失っているという話がいかにもという感じで面白いです。
後は、バリ島生まれで、色々苦労した末に、年を取ってから絵(貼り絵といっていいのか?)を始めた女性の作品が印象的でした(アートの専門教育は受けていない)。
あれです、マッジ・ギルを思い出しました。
そう言えば、このバリ島の女性も、マッジ・ギルも、自分の子供を亡くしているのでした…
8/19(木)の展覧会巡りのご報告は、これで終わりです。
今後もコロナに気を付けて、展覧会を楽しみたいと思います。
それでは、また!