青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『水村 喜一郎 個展』@ギャラリー古島 感想

もう2月が終わりだなんて、と愕然としております。年明けから一所懸命に駆け抜けてきたので(ダラダラもしたけれど)、後悔はないですが。

 

さて、画家 水村 喜一郎氏の個展に行ってきたので、その感想をレポートします。

 

『岸辺のお風呂屋さん』主体美術協会HPより引用

 

画家・水村 喜一郎氏と言えば、東京都墨田区向島生まれ。ですが、長野県東御市個人美術館を開館されていて、「いつかそのうち作品をじかに観てみたい」と思いつつコロナ禍もあって中々行けない(作品も鑑賞できない)…というアーティストの一人でした。

 

今回会場でお話させていただいた時に、「毎年銀座・京橋で個展していますよ」と言われてずっこけました。…そう言えば、主体美術協会会員でいらっしゃるから、毎年そちらの展覧会にも出品されている筈(主体展は東京都美術館で毎年開催されているよう)。

 

書いているうちに思い出しましたが、作家の水上 勉さんが開設した「若州一滴文庫」(福井)に行った時、展示されていた水村さんの作品も拝見した筈…。記憶があいまいでお恥ずかしいです。

 

itteki.jp

 

私が最初にこの画家を知ったのは、銀座の画廊主・美術エッセイストだった故・州之内 徹氏の著書『人魚を見た人―気まぐれ美術館』で、です。州之内さんの美術エッセイ『気まぐれ美術館』シリーズが好きで(一時全巻所持していた)、○○年前頃は、就寝前の友として愛読していたので、それを通じて知った画家たちがかなりいました。水村氏もその一人です。

 

 

前述したように、水村氏は向島生まれ。私はスカイツリーの近辺に知人がいますし、

そういったこともあって、勝手に親近感を持っていました。ですが、「本を通じて知った人」というのは、自分にとっては遠い伝説上の人物、というイメージもありました。水村氏の画集も昔所持していたのですが(手放してしまった)、確かこの中の記述で、中村 天風氏との邂逅について書かれていたのもその気持ちを強くしました。

 

 

中村 天風氏と言えば、松下 幸之助や宇野 千代のメンターとして知られる、今でいうポジティブシンキングの先生です。そして、頭山 満氏をトップとする、玄洋社の一員です。凄い伝説的人物…

 

前置きが長くなりました。

 

ひょんなことから、水村氏の個展が千葉県千葉市のギャラリー古島というところで開催されると知り、勇んで行ってきました。首都圏でなかなかその作品を鑑賞できない(←※アホな思い込みでした)水村氏の個展が開かれる!?と興奮して。

 

個展のハガキ

 

www.gallery-furushima.com

 

会場のギャラリーは、ビルの2階になります。今回知ったのですが、水村さんは千葉県内にお住まいだそうです。

 

会場入り口前

 

作品は、前述のように、若州一滴文庫で既に拝見済みの筈ですが、じかに鑑賞できて感激でした。水村さんは油彩画家ですが、印刷物では、油絵の実際のマチエールが伝わってこないので、思っていたより分厚いのだな~、ということが分かりました。他に作家・水上 勉氏からの書簡や、竹紙(これも水上 勉さんからいただいたのでしょう)に描いた絵もありました。

 

会場には、作家ご本人がおられたのでご挨拶して、州之内徹氏の著書『気まぐれ美術館』で水村さんのことを知ったとお話しさせていただきました。「もう30年も昔の話しなのに…嬉しいですね」と言われました。一応書いておきますと、私が『気まぐれ美術館』読んでいたのはそれより結構後ですよ~(;´∀`)

「今は油絵描く人が少なくなった、アクリル絵の具とか水彩をやる人の方が多い」とも言われていました。デジタルの人も多いですしね。

 

書き忘れていましたが、水村さんは、9歳の時に高圧電線に触れた事故で両腕が無い身体障害者でいらっしゃいます。「口と足で描く芸術家協会」の会員でもあります。でも、あまり「障害者です」というたたずまいや悲壮感はないのですよね。前述の州之内さんの著書や、ご自身で書かれた来歴(画集に掲載されていた)を拝読すると、どうやらかなり明るいコミュ強者でおられるようです。

 

私としては、本で知った伝説的人物が、「本当にいたんだ、実在するんだ」と思える体験になりました。

 

展覧会は、3月6日(月)まで(3月2日(木)休廊)、会期中10:30~18:30(最終日のみ17:00まで)となります。

 

咲き誇り~

 

それでは、また!