青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

ポジティブハラスメント

(夏が暑すぎた→米を中々食べられなかった…ので)去年の古米をまだ食べています。

 

さて、ポジティブ思考やネガティブ思考について最近つらつら考えていることを。

 

プラス思考と言えば、中村天風先生!

 

『絶望名人カフカの人生論』などの著書で知られる、頭木弘樹氏(1964年生)のインタビュー記事『「病気のおかげで」は本当?「立ち直りの物語」を求める心理の正体』(朝日新聞デジタル/2023年9月15日/有料記事)が今の世相が現れていると感じたのでシェアさせていただきます。 

 

www.asahi.com

 

かいつまんで内容をご説明すると、この方は、20歳で潰瘍性大腸炎を発病され、今も健康とは言いがたい状態だそうです。そして、重い病気や大変な経験をした人達の多くが、「辛い経験だったが、結果成長できた」等と経験をプラスに語る傾向がある…と指摘されています。 

 

 

頭木さんご自身、取材を受ける際に何度も「病気になってよかった」という態度を求められ、「今は良くなられたんですよね」等と「立ち直りの物語」を発信するよう、微妙に圧をかけられ続けているそうです。病人は弱い立場なので、そのような風潮に迎合するようになる。そして社会全体に、辛い出来事に落ち込んで、回復の時間が必要な方々に対してそれを良しとせず、「突然立ち上がれ」と促すような傾向がある、とも。 

頭木さんは続けて、このような風潮の根底には「自分もいつか倒れることがあるかもしれない」という恐怖がある、と推察されています。病気になっても、失うだけではなく、立ち直れるだろう(そうであって欲しい)という訳です。そのような恐怖や不安が、皆に受けやすい(要するに「売れる」) “美談”の型への誘導につながる訳です。

 

全米が泣いた!」

 

大病を経験された方々は、「その体験を糧に成長した」という“泣ける美談”を提供して、「観客の皆様」をいい気持にさせるために罹患した訳ではないのです。そして、辛い記憶の(自分の中での)意味づけを変えよう!とする考え方は、近年流行しているアドラー心理学の影響がある気がします。アドラーがどうというより、人間には、打ちひしがれて立ち直れないままでいる“自由”だってあるのです。 

 

アドラー先生(※ちゃんと読んだことはないです)

 

そういえば、学生時代(遥か昔…)の友人達がとても前向きな人達でした。それは良いのですが、ネガティブな私の発言を頭から否定してかかるので、当時はイライラしたものです。こちらも凄~く後ろ向きでうっとおしかったのだと思いますが、もうちょっと寄り添って欲しかったものです。

ま、自分が愚痴を聞かされる立場になれば、そういう発言を何度も聞かされるのは、やっぱり嫌ですが。

 

ポジティブも時と場合による

 

当時の話に戻りますが…自分は弱かったので、そんな友人達に迎合して、一旦は”前向きになった”振る舞いをしましたが、色々上手くいかず…結局はもう会わなくなりました。

 

そう言えば、3.11.の震災でも、震災やそれに付随する津波の甚大な被害直後から、多くのマスゴミ共が「復興」をお題目のように唱えている様に凄く違和感を感じたものです。あれは、ショックを和らげようという意図もあったと思いますが、異様でした。

 

「復興」だの、「乗り越えた」だの…2011年から何年も経過しても、行方不明の家族の手がかりを必死に探し続ける被災地の方々に対しても、そんな言葉でくくりたいのでしょうか?乗り越えることばかりがそんなに推奨されるべきでしょうか?

 

人の苦闘を安易に”消費”するな

 

そりゃあ、乗り越えられたら良いでしょうが、物事には段階と言うものがあります。せかすなんて論外です。

 

各自の人生の中で避けがたく起こる、辛い経験をどう受け止めるかはご本人の問題です。「いつも明るく前向きに」という強迫観念こそが、現代の病理かと考えます。 

 

 

…というところで止めようと思っていたのですが。

関連するところで、ちょっと話題がずれる話をおまけに。

 

上記のように、ポジティブ傾向が強い人にもやもやすることがあったので、今回、「ポジティブ 欠点」というキーワードで検索すると、結構いきすぎたポジティブ思考の人が持つ欠点について知ることができました。例えば、

  • 失敗から学ばない
  • 無責任だと思われることがある
  • 人の話を聞かない

…なんてね。

 

で、話が飛びますが、故 (プロ野球の)野村克也監督と沙知代夫妻の組み合わせ、私は前から興味があったのですよ。皆さんご存じのとおり、沙知代さん、サッチーは色々とアレな人でした。

 

『女性自身』公式サイトから引用

 

つらつら考えるに、ノムさんにとっては、サッチーは唯一無二の、得難い伴侶だったのだと思います。しかし、「周囲の関係者」に与えるダメージが半端ない(笑)場合、この結びつき、トータルで本当に良いものなのか?と頭をひねってしまいます。

 

何せ、ノムさんは息子の克則氏にさえ「何で結婚したの?どうして離婚しないの?」と聞かれるくらい(※克則氏にとってはサッチーは実の母)。

 

でも、マイナス思考の傾向が強いノムさんには強烈なプラス思考の体現者であり、ぐいぐい引っ張ってくれる彼女は絶対に必要な存在だった。彼女の「大丈夫よ」「なんとかなるわよ」という言葉にノムさんは何度も救われてきたとか。

で…上記のポジティブ思考の人が持つ欠点を再掲します。

  • 失敗から学ばない
  • 無責任だと思われることがある
  • 人の話を聞かない

…これ、サッチーそのものじゃないですか(;´Д`)

 

昔、色々過去のことを引きずったり悔やんだりする私に、ある方が野村沙知代を見習え」と言ってくれたことがあります。まだサッチーが存命で、脱税だ学歴詐称だ、で世間から猛バッシングを受けていた頃です。

その人は、続けて「あの人は、徹底して”今”にしか生きていない、過去にパンパンをやっていたこととか、息子に暴露本書かれて、過去のことを指摘されて非難を受けても、( ゚Д゚)ハァ?としかならない。」「皆、あの人を非難するけれど、あれはあれで学ぶべきところがある」…と。

 

成程ねえ…

 

当時の私は、普通のこと言ったつもりでも「なにそのネガティブな言い方、ヽ(`Д´*)ノ ヤダァ!!!」と呆れられたりしたものですが(;´・ω・)、今はそれと比べて、成長できたかな?

 

でも、現実逃避レベルのゆがんだポジティブシンキングは結局反動がくるから、時には怒り、嘆くこともしっかりやってから、自分の出来る範囲でささやかなことに感謝することを意識づけしていこうと思います。

 

『デイリースポーツ オンライン』公式サイトより引用

 

それでは、また!