青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる』展 感想

今更ですが、故野村 克也・沙知代夫妻についてつらつらと考えるのが自分の中のトレンドです(※何の役にもたたない)。

 

さて、千葉県の市原湖畔美術館にて開催中の、『メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる』展を見て来たので、感想です。

f:id:aoumiwatatsumi:20210919174615p:plain

ファンキーな展覧会でした

【目次】

 

展覧会概要

lsm-ichihara.jp

 

革命の芸術が刻印され、生と死、古代と現代、
現実と超現実が混淆するメキシコと日本人アーティストの化学反応

メキシコのスペインによる征服から 500 年、独立から 200 年にあたる今年、市原湖畔美術館は「メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる」を開催いたします。

(中略)

排他性と連帯への希求に世界が大きく引き裂かれ、コロナ禍により、生と死のありよう、現代文明の基盤そのものが問われる今、アーティストたちが共振した<メヒコ>は、私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。

出展作家:
北川民次岡本太郎、利根山光人、深沢幸雄河原温水木しげるスズキコージ、小田香

(展覧会公式サイトより引用)

9/26(日)まで開催。

 

遠い旅路でした

今回の展覧会も遠かった…会場となっている、市原湖畔美術館は、公共交通機関利用では、中々アクセスが容易ではありません。

まず、内房線五井駅までJRで来て、そこから小湊鉄道へ乗り換え。美術館の最寄駅である高滝駅まで1本…と言いたいですが、途中の一部区間が7月の集中豪雨で運休中。光風台駅上総牛久駅までは、バスによる代行輸送に頼らなくてはなりません。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919175849j:plain

光風台駅で下車して代行輸送のバスを待つ

 

上総牛久駅前に着いたら、そこから改めて小湊鉄道へ乗車して、高滝駅で下車。

そこから徒歩で20分以上?歩いて、ダムによる人造湖の高滝湖脇にある、市原湖畔美術館へ。結構な僻地ですが、中々面白い展覧会を開催しているところです。

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184210j:plain

市原湖畔美術館

 

出展メンバーの組み合わせが面白い

展覧会場に入って、真っ先に展示されているのは、岡本太郎がメキシコで制作した大壁画「明日の神話」の下絵(これも充分大きい)。完成品は、修復を経て、2008 年渋谷駅コンコースに恒久設置されています。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919181257j:plain

メキシコ壁画運動の影響を受けたか

 

岡本太郎は、メキシコ旅行で、沢山の現地で撮影した写真を残しています。その一部も、今回展示されていました。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919181245j:plain

明日の神話」中心部

 

漫画家の水木しげる先生は、メキシコが大好きだったようで、現地で収集された仮面や民芸品のコレクションが展示されていました。あちらの妖怪を描いたイラストも。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919181726j:plain

水木しげる収集のメキシコの仮面コレクション

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919181810j:plain

仮面コレクションの1つ

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919181856j:plain

「蛇体娘」のイラストと説明文

 

北川民次がメキシコにいたのは知っていましたが、深沢幸雄河原温もメキシコに行って、影響を受けていたとは知りませんでした。小田香さんの映像作品『セノーテ*』は、上映会場への通路に生贄になった少女達のレリーフが飾られていたのにゾクゾクしました。

*セノーテとは; 中米ユカタン半島にて地下水が溜まった天然の井戸や泉のことで、マヤ文明の時代には、沢山の生贄(人間の少女)が捧げられたそうです。

 

上の写真で上げた水木しげるさん作画の「蛇体娘」の伝承は、湖の主に嫁として取り上げられた人間の娘の話ですが、もしかすると、生贄にされた少女の記憶が入っているのかと思いました。

 

そして、圧巻だったのは、絵本作家のスズキコージさんの吹き抜けを使ったパワフルなインスタレーション

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184458j:plain

上から見て

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184531j:plain

吹き抜け、上から

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184553j:plain

吹き抜け、下から

凄い生命力溢れる作品達。メヒコの生と死の大曼荼羅です。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184717j:plain

何が何だか(笑)

f:id:aoumiwatatsumi:20210919184927j:plain

何だかさっぱり分からなくても最高

 

圧倒的な祝祭空間。流石コージズキン。

 

ところで、展示の一部、一連のコラージュ作品を見ていたら違和感が…

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919185124j:plain

既視感が…

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919185613j:plain

この手前のおじいさんの写真で確信

 

あ!これ、映画「ナージャの村」が元ネタだ‼(スズキコージさんは、この映画の上映会のパンフレットにイラストを寄せておられました。)チェルノブイリ原発事故後も、被爆した地域で暮らし続ける人達を撮った、ドキュメンタリー映画です。

そう言えば、「NO MORE ATOMIC ENERGY!」という一文がある!

 

 

・・・ということは、メキシコじゃねえよ(笑) ベラルーシじゃないですか、何メヒコの展示に混ぜているんですか、全然違う笑笑笑

 

まあ、これぐらい何でもアリ感がコージズキンならではなのかもしれません。

 

決して大きな美術館ではないですが、充実した展示でした。来月から開催予定の戸谷成雄展も行く気満々。楽しみです!

 

コスパ最高の休憩所

今日は、時間が無く(帰りの電車の時刻が・・・)高滝駅への帰路に、あわただしく高瀧神社横の観光案内所兼休憩所であんみつ(¥350- )をいただきました。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919191429j:plain

左手前の小鉢(ニラ玉)はサービス

 

この休憩所、コスパが最高なのですよ。サービスが価格に対してタダ同然。このあんみつだって、寒天が綺麗な3色(緑・ピンク・無色)で、無料で小鉢(今回はニラ玉)が付き、麦茶(水じゃない!)も付いて、たったの350円!

 

しかも、帰り際に、干してあった鷹の爪と栗を「(タダで)好きなだけ持って行きなさい」と勧めてくれます。350円しか払っていない客にですよ。

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919192042j:plain

いただいた鷹の爪

 

(栗は剥くのが面倒くさいので)鷹の爪だけいただきましたが、本当に最高です。地元の農家の方々がやっておられるのだと思いますが、もうちょっと欲だしてもいいですよ、と言いたくなるサービスのクオリティです。

 

美術館脇の人気店、PIZZERIA BOSSO 市原店も良いですが、今度こちらへ来たら、ランチは絶対にここでとろう!と思いました。

 

・・・結局、帰りの小湊鉄道の電車は30分も遅れました(汗)それなら、この休憩所でラーメン(500円)でもいただいてくれば良かった・・・  (;´д`)トホホ

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210919192720j:plain

高滝駅そばの稲穂がたわわな田んぼ

 

それでは、また!