今年は、クリスマス前なのに、もう正月関係の商戦に入っているような気がするのですが…???
さて、市原湖畔美術館『戸谷成雄 森―湖 再生と記憶』展 と、千葉市美術館『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』を続けて鑑賞したので、その感想です。
【目次】
『戸谷成雄 森―湖 再生と記憶』展
今年の9月に、市原湖畔美術館へ行きましたが、師走に再び、はるばる来ました!
あの時は、小湊鉄道が大雨の影響で一部路線が崩壊、途中でバスによる振り替え輸送で美術館までなんとか行きました(今は復旧しています)。それに最寄りの高滝駅前の田んぼに稲穂がたわわに実っていましたが、今は刈り取られていて、時の経過を感じます。
戸谷成雄さんは、1947年長野県生まれの彫刻家(木彫)です。自分が作品を拝見するのは以前栃木県立美術館の『メディテーションー真昼の瞑想90年代の日本の美術展』(1999年)以来です。
…20年以上経っています…(驚)
あの時の記憶そのままの作品群でした。
関連した展示として、『湖の記憶』と題して高滝ダムができる以前のこのエリアの村の暮らしが紹介されていました。当時の村の風景や人々の写真を鑑賞してしみじみ。
高滝ダム憩いの家
さて、以前から市原湖畔美術館へ行く時はランチはここで!と決めていた高滝湖畔の「高滝ダム憩いの家」へ。観光案内・レンタサイクル貸出・休憩所となっている場所ですが、食事処として圧倒的なコスパの良さに、今回もお世話になりました。
本日は、しょうゆラーメン(500円)、レギュラーコーヒー(250円)、梅酢500ml(250円)で1000円支払いでした。これだけでも安いと思うのに、当然のようにサービスで(想定していない)サラダ・小鉢3種・デザート(パイナップル1かけ)がどんどん出されて戦慄を覚えるレベル。
いやあ…好きです、ここ。地元のお年寄り・奥様達がやっておられるようですが、儲け度外視でないかと思っています。
『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』
高滝駅へ戻り、JR千葉駅まで来たら、徒歩で千葉市美術館へ行きます。
福田美蘭さんは、1963年生まれ。自分としては、むしろグラフィックデザイナーの御尊父福田繁雄さんの方を存じ上げていました(小学校の図工の教科書に作品が掲載されていたので)。
非常に高い技術の裏付けにより、批評性に富んだ作品を生み出されている作家さんです。素晴らしいのは、福田さんはその優れた描画テクニックを「手段」として使われていることです。
今回の展覧会は、千葉市美術館所蔵品から作家がインスパイアされたイメージを作品にされているようです。
写真撮影不可の出品作の方が、面白さも迫力も段違いでした。コロナ禍やオリンピック等、時事的なモチーフでの作品も少なくなかったです。
この展覧会のためのインタビュー記事を会場で拝見したのが印象的でした。
(新型コロナウイルス感染症の流行によって、制作に影響はあったのか?と聞かれて)
コロナもオリンピックも、非常に身近な問題です。それが作品に入り込んでくることは、自然なことだと思い、制作を進めました。
…と言われていますが、一方このようなこともコメントされています。
…時事的な問題に対して、自分の考えを作品で表すことはあっても、それを振りかざしたり、押し付けたりしないこと。「美術で社会を変えよう」「美術で社会に貢献しよう」というような、世の中に力を及ぼそうとして作る作品と、わたしの作品はまったく違います。
ここは首肯するところが大きかったです。そう、アートの役割とは、この世知辛い現世を生きていく我々に、「違うものの見方」を提示してくれるものだと思っていましたから。
…さあ、これで今年の美術館訪問は最後となるかと思います(多分。ギャラリーはまだ行くけれど)。
それでは、また!