今月に入ってから、気が狂う程忙しい日々を送っています。
こうやって、皆ブログを更新しなくなっていくのかな…?(;´Д`)
さてさて!イギリスの見事な装丁の絵本『キツネと星』の感想です。
amazonがおすすめしていて装丁に惹かれたので図書館で借りて読みました。
※注:盛大にネタバレしています
評価:★★★★☆(5つ★満点))
【目次】
あらすじ
森に棲む、一人ぼっちのキツネにとって、空に輝く星はただ一人の友達。暗い夜にも行き先を照らしてくれるかけがえのない存在。雨の日でも頼めば雲を突き通す程光り輝いてくれる。しかし…その星がある日いきなり見えなくなった!心細く、最初は引きこもっていたキツネは、コガネムシを食べて復活、星を探索に出かけます。
そうして、はじめて森の外のはらっぱに着き、眠った後目を覚ましたら空に満天の星々を認め、安堵して棲家へ帰るのでした。
感想
デザインは非常に美しかった
装丁、デザインと言う点では満点だったです。布張り・箔押しの美しい表紙!表紙を開くと、見返し部分が写真のような隙間の無い森の絵。
写真でどれだけ本物の美しさが伝わるか不明ですが、非常に非常に美しい行き届いたデザインでした。
ストーリーが意味不明
…それなのに内容が私にとって、色々と意味不明でした(;´・ω・) 何でも説明がつく話を好む訳ではないですが(「本当の秘密は永遠に秘密のまま…(@五十嵐大介『魔女』)」)、この著者は(ベテランのブックデザイナーさんらしい)ストーリーテリングに関しては、素人なんではないかと思いました。
謎①Abigailって誰
本の初めに「AはAbigailのA」と書かれて3匹のウサギが「A」の字を囲んだページがありますが、ここ、不親切だと思います。
何故ここで「A」を出すのか、「Abigail」とは誰のことを指すのか、読んでいてまごついてしまいます。ページ自体が魅力的なのがまた始末に負えない。
謎②星が何故消えたのか
星は、雨の日でもキツネがお願いすればひときわ輝いてくれる、と説明されているので、天候不良で行方不明になる訳ではなさそうです。何かの比喩なんでしょうが、このストーリー上で説明をつけて欲しい。
謎③コガネムシの大群
友達を見失い、引きこもるキツネに、ぞろぞろと迫りくるコガネムシたち。
写真の通りの黒が主体のページで、どう見ても不穏な展開、不穏な画面(ちょっと気持ち悪い感じの画面となっております)…と思ってページをめくったら、「コガネムシの美味しそうな匂い。ぺろりといただきました」という展開にズッコケました。何それ。
謎④何故星と再会…そして他の星は?
星を見失ったことへの何の説明もないまま、キツネは友達の星を再び見いだします。しかも、それまで見たことも無い、他の沢山の星々も一緒に輝いていました。この本の最後のページでは、体中に星を宿して巣へ帰って行くキツネのシルエットが描かれています。
…何故星と再開できたのか、そして、他の今まで見えなかった星たちはいったい何なのか。こういうことを説明しないのは、いくらなんでも乱暴すぎると思います。子供がこれを読んで納得するかどうか。「子供をなめんじゃないよ」とさえ思いましたよ。
美しい本なんですけどね。それでもやはりストーリーテリングの点ではかなりダメダメな本というのが私の評価です。