青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『特別展 植物 地球を支える仲間たち』感想

また首都圏では、暑い日々が(お布団や洗濯物が乾かせる日々が!)戻ってきました。

 

さて、お盆もキーッ!と働いたので、本日やっと夏休みをとり、上野・御徒町エリアの展覧会を4つもはしごしてきました。多いので分割して感想をアップします。

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上野・国立科学博物館の植物展にて

 

本日は、以下4つの展覧会を鑑賞しました。

 

 

障害者手帳があると、上野公園は1日遊べて最高です。なにせ国公立美術館・博物館(動物園も)はタダで入館できるからです。今回は、最後の3331 Arts Chiyodaの『ポコラート世界展』もタダで利用出来ました。助かります。

 

国立科学博物館だけ、コロナで要予約でした。では、『植物展』の感想です。

 

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朝顔の模型(根の部分は写真)

結論から言うと、大変展示内容が充実して楽しい展示でした。


夏休みだからか、子供を連れた家族連れが結構いました。自由研究のテーマに使えそうですしね。

そして、本展は会場内撮影が自由!なので、親御さんの方がエキサイトして写真をバシバシ撮っているのが見られました。私も撮った写真をここに上げます。

 

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ショクダイオオコンニャク(花)の実寸大模型

 

会場では、色々な形の植物―生きている実物のもの、標本、実寸大模型、はたまた何倍も大きな模型も―が展示されていました。写真や図、映像の展示資料も数多く、見どころ一杯。

 

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生きた植物も展示

 

遥か昔、植物の祖先が光合成有機物を自ら作り出すことで、餌を求めて移動する必要は無くなりました。

が、そうしたことで生まれ落ちた場所から動けないという「縛り」が出来ました。そうして植物達は何とか生き残るための静かな闘争を繰り広げてきたのです。

(どうでもいいですが、「静」の字って"青い争い"と書くんですね)

 

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川の急流に生息するカワゴロモの標本

 

植物が外界を様々な感覚で感知していることや、人が植物に対してしばしば持つ「癒し」「優しい」といったイメージをぶち壊すそのしたたかで奸智に長けた生存戦略や、時に見せる凶暴な振舞い、多種多様な過酷な環境で進化して生き残ってきたその様等…色んな顔を見せて貰えました。

 

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ライオンゴロシの種(右側小さいのが本物)

 

上の写真の「ライオンゴロシ」の種は、動物の体に引っかかることで、新たな場所へ移動する戦略をとっているそうです。これがライオンの口に入って怪我をすればライオンがそれが元で死んでしまう、とのことでこの名前だそうです。

 

また、砂漠や高山のような水分に乏しい地域で適応した植物達もいます。

 

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乾燥した地域での植物達

水を体に貯蔵する作りの身体、また鳥や動物たちに捕食されないように、小石のように擬態した外見…進化というやつですねえ。

 

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大人気のアクアリウム

水中で生き残る種もいます。

 

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みんな大好き食虫植物

 

食虫植物のエリアは、巨大な模型(現在進行形で虫を捕食中の姿)も展示され、気合が入っていました。

 

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植物と関わる虫達の標本も

 

蜜を吸う、花粉を雌しべへ運ぶ、"餌"となる…植物と関わりが深い昆虫達の展示も結構ありました。

 

この展覧会が良いのは、「一番背が高い植物」「長生きな植物」「一番大きい花」等、子供達を惹きつける展示も充実させつつ、植物のDNAや発生の過程や進化、光合成のしくみ等、科学的にも深い内容まで行き届いていることです。

 

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植物の"発生"の模型

 

植物の発生の過程と並べて、ヒトの発生の過程(受精卵から胎児へ)を並べて見せているのも楽しいです。

 

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青いキク

 

青いバラの標本もありましたが、青いキクも自然では無いものなんですね。こちらの方が私は好きかも、

 

そして、植物と動物のDNAは、物質としては変わらないという話は初めて知りました。

 

進化の話に関連して、化石の展示も沢山ありました。

 

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シダ類?の化石

 

この写真の化石なんて、人為的なもの―レリーフや壁画―にも見えます。

 

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化石の拡大写真

 

イチョウの葉の化石もあり、胸熱。そういえば、イチョウペルム紀からある古~い種でした。

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イチョウの化石

 

植物の人間との関わりと言う事で(衣食住と様々)、植物工場についても取り上げられていました♪

 

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植物工場の設備で育つリーフレタス

 

この展覧会的に一番ぐっときたのは、各大学・研究機関の植物を専門に研究する研究者達が、子供達へ向けたメッセージボードです。各自の専門分野の紹介と、研究で一番嬉しかった事等織り交ぜながら、未来の博士達へ熱い思いを伝えておられました。

 

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一応モザイクかけておきました

 

この展示全体が、こういった研究者達が力を結集して作り上げたのかもしれませんね。

 

『植物展』に関しては以上となります。

 

この後行った展覧会の感想は、後日またアップしたいと思います。

 

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記念撮影に人気のスポットだった

 

それでは、また!

8月前半の食の忘備録

ご無沙汰しております。狂った気象のせいで蒸し暑い日々から、すっかり「梅雨か?」な状態になっています(南関東

さて、とりあえず盛夏の食の記録でお茶を濁しておきます。

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ペルーの魚介マリネ「セビーチェ」はお気に入り

 

ブログ、書きたい話題はいくつかあるのですがやるべきこと、体力温存の必要等から放置してしまっていました。気が付くと、すぐうたたねしてしまう今日この頃です。資格試験勉強、大丈夫か~(;´Д`)

 

食の話に戻ります。

 

カルディで大人気の調味料「ハリッサ」が最近のお気に入りです。以前、「湖池屋 アラビアンムーチョ ハリッサ・ビーフ」(カラムーチョのバージョンの一つです)に凄くハマっていましたが、こちらは終わっちゃったんですよね(´・ω・`)

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「ハリッサ」で味付けたアジのソテー

 

www.kaldi.co.jp

 

カルディと言えば、先日スペインのお菓子「ポルボロン」をお店でゲットしました。

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オリジナル通りなのか?

 

ポルボロン」は、前の職場のフィリピーナ達から帰省のお土産にいただいていたものが好きでした(フィリピンはスペインの植民地だったので影響がある)。スキムミルクが入っていて、口にいれたらほろほろっ、と崩れる触感が好みで。

 

でも今回のカルディのポルボロンは、あれとは違いました。フィリピンのポルボロン、また食べたいですが、どこで入手すれば良いか分かりません(意外と手に入りにくいのですよ)。以前自作してみましたが、それもなんだか違う味わいでした。

 

 

山形県村山地方の郷土料理だという「だし」も作ります。夏野菜・香味野菜や昆布と出汁等合わせて調味したものを、ご飯にのせて掻っ込むと、暑い日でも食べられます。

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映えない「だし」

 

モロヘイヤをチキンコンソメで煮たスープも、夏にはかかせません。

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正に「王様の野菜」…(*´Д`)

 

地元のスーパーで馬刺しの店がテナントに入っているのでロースと「たてがみさしみ」を購入。自家製の生姜・ニンニク入りタレでいただきました。

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映えない盛り付けです(汗)

 

写真の白いものが「たてがみさしみ」、馬のたてがみが生える部分の脂肪です。コラーゲンたっぷりだとか。

 

杉浦日向子さん著『ごくらくちんみ』で読んで、ずっと食べてみたかったんです、「たてがみさしみ」。どちらも美味しくいただきました。

 

 

家族が大量の大葉(枝を何本も!)をいただいてきたので、めんつゆ・ニンニク・ごま油・すりごまで漬け込みました。ご飯のお友に良いです。

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映えないですが美味しいです

 

今年初めての桃(福島産)を奮発してゲットしました!

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(*´Д`)ハァハァ

 

せっかくなので「桃モッツアレラ」を作りました。オリジナルのレシピでです。

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スイーツではなく、ギリギリのところで「サラダ」。

 

ホント、このレシピ凄いです。アレンジではなく一度はオリジナルのレシピで作って食べて欲しいもの。スイーツとかデセールではなく、この材料の組み合わせでギリギリ「サラダ」になっている奇跡のレシピ。

 

macaro-ni.jp

 

家に白ワインがあれば、もうたまりません♡(∩ˊ꒳ˋ∩)♡

 

 

…と最近の食はこんな感じです。

 

今日の夕飯は、豚肉の冷しゃぶです♪

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周りは蒸し茄子

 

豚肉の茹で汁は、そのままスープに使うと言う、無駄のない献立です(´∀`*)ウフフ

 

 

【おまけ】

星乃珈琲店に行った時、見かけたメニュー(食べてはいません)。

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こういうことするのが本当に日本人という感じ

 

「マリトッツォをスフレパンケーキで作りました」

…もうマリトッツォではない何かなのでは?

 

ああ、日本だなあと思いました。いい悪いではなく、日本の伝統芸というか。

他の外食チェーンでもちらほら似たようなものを見かけました(笑)

 

 

それでは、水害やコロナに負けないよう皆様お気を付けください。

 

新型コロナウイルス ワクチン接種(第1回目)

暑いあづい…とここ数日の暑さに参っている今日この頃です。
資格試験の勉強も滞りがち。


さて、昨日地元の病院で新型コロナウイルス ワクチン接種(第1回目/ファイザー社製)を受けて来たので、その記録です(*´ω`*)ノ

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夏まっさかり

【目次】

「基礎疾患を有する方」の対象者でした

自分は、「基礎疾患を有する方(49歳までの方)」に入るようです。地元自治体から届いた「ワクチン接種のお知らせ」で「基礎疾患を有する方の範囲」にばっちり入っていました。

精神障害者保険福祉手帳を所持している、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合」と記載があり、まさにこの通りですから。

 

え~、その割には連絡くるの遅くね?って思いましたが(笑)

 

あっという間に終わりました

ワクチン接種の位置は、肩の上部分だと考えておりませんでした。

注射するのはてっきり肘の内側(柔らかい部分)にするものだと思い、半袖を着ていきましたが、これが伸縮性が無くて、肩の上部をむき出しにしにくい服!「2回目は伸びる素材の上着で来てくださいね」と注意を受けました。

「力を抜いてください!力を抜かないと痛いですよ!!」と脅されつつあっという間にぷすっとさされて終了。普通にチクッとした程度でした。

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夏はアイスコーヒーが嬉しいです

 

副作用は?

新型コロナウイルスのワクチンについては色々な副作用の情報が飛び交っています。自分からはなるべく調べ無いようにしようと心掛けていましたが、それでも、周りで「腕が上がらなくなる」「翌日発熱」「目の奥が頭痛」といった実体験が耳に入ってきます。ちょっと不安でした。


私は、過去にある病気で手術後、しばらく再発防止のため薬物治療を受けていました(今も服薬は続けています)。その時も、散々副作用について事前にレクチャーを受けて、ドキドキしながら治療に臨んだ結果…しんどい副作用は何もありませんでした。

だから、何となく今回のワクチン接種も自分は大丈夫では?と根拠ない自信がありましたが、やはり…接種してから翌日になっても特に自覚症状はありません。

 

夏バテの方がきつい

むしろ、このところの蒸し暑さで夏バテ状態でしたので、その意味で(接種前から)体調不良気味ではありました。

本当は午後都内の職場へ出社する気満々でしたが、夏バテ状態の自分をいたわりたくて、結局在宅勤務としました。正解だったかもしれません。

暑さに加えてこの湿気ですから。こんな不快な環境下で頑張ったオリンピックのアスリート達には本当にお疲れ様ですと言いたいです。

 

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湿気の高さが辛い

それでは、また!

 

『没後20年 まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!』他 感想

オリンピック期間中は、仕事以外では極力都内に出ない!と決めていましたが、今日その禁を破りました。事情は以下詳細です。

 

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この美術館の展覧会はいつもチェック

 

【目次】

 

まずは腹ごしらえ

池袋まではるばる来たので、通常なら絶対中華料理!ですが、本日は西武百貨店池袋店に用事があったので、屋上の「かるかや」のうどんをランチでいただきました。

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味は"まあまあ"ですよね?

窓口で注文を受け付けているお兄さんが、日本人ではないイントネーション。私の見立てではベトナム人だと思います(過去に外国人出稼ぎ者と一緒に働いていたので)。中国人程きつい感じがしないので…どうかな?

飲食店でこのコロナ禍は大変だと思いますが、順調に稼いで故郷に仕送りができるといいね~、と思いながらうどんをすすります。この店はじめて食べましたが、それほど凄く美味しいとは思わないなあ。

 

船員(含む関係者)さん達の絵画展

それから、東京芸術劇場へ。入口で手荷物検査を実施しておりました。

5Fのギャラリーにてこの展覧会を鑑賞。

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延期にも中止にもならないのが意外

 

私が見たかったのは、併設展の「海に生きる者の」絵画展。船員・元船員及びその家族の手になる絵画作品の展覧会です。今回会期が7/30(金)~8/4(水)だったので、こんな時期に池袋まで足を運ぶこととなりました。

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メインの展覧会には興味なし

会社にもポスターが掲示されていたので、一度行ってみたかったのです。

作品は、割と小さ目(8号~15号位)で、モチーフは海や船が主なもの。プロの画家さんではないので、趣味レベルでしたが、一つ山下公園を描いた作品が精緻で印象的でした。写真が撮影出来ないのが残念です。

 

まるごと馬場のぼる展 鑑賞

池袋から西武池袋線中村橋駅下車、練馬区立美術館へ向かいます。

 

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美術館前の公園にて

 

馬場のぼるさんは、絵本『11ぴきのねこ』が家にあったので、もうこの展覧会は楽しみにしておりました。ユーモアがあって、温かく優しい筆致で、品があって萌えも感じるキャラクターデザインに(*´Д`)ハァハァ…(え?)

 

11ぴきのねこ

11ぴきのねこ

Amazon

 

凄く充実した展示でした。幼少時の落書きや小学校の頃からの絵や作文等がちゃんととってあって展示されているのには感心しました。ご家族がきちんと保存されていたのが分かります。

 

スケッチも沢山ありましたが、人間や動物のスケッチは、ただの写生ではなく、キャラクター化も兼ねているもので、面白く感じました。

 

漫画家から出発されたので、その頃から絵本の仕事をされるようになっていく作風の変遷も追うことになりました。家はY新聞だったので、時事漫画も描かれていた記憶があり、その時の作品も展示されていました。馬場さんの政治漫画は、皮肉が効いていても柔らかくユーモアに包まれています。

 

夏休みだからか、子連れの観客が沢山いました。結構密だったな…(;´Д`)

私みたいに、子供の頃馬場さんの絵本に接して育った人達が、お子さんを連れてきているのかと思いました。優しく懐かしいタッチの絵は、今見ても良いものですしね。

今の子供たちにも受け入れられやすいタッチなのか、キャラクターグッズが沢山あるお土産コーナーも盛況でした。私もトートバッグ等購入しました。皆馬場さんの優しいタッチの絵に接して、少しでも心が和むと良いな…と思いました。

 

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手に持っているのはコロッケか?

 

それでは、また!

『トラックドライバーにも言わせて』橋本 愛喜 著 感想

こんばんは。読んでからもう1カ月近く経っていますが橋本 愛喜さんの著書『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)の感想をあげておきます。おすすめですよ!

 

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読破に時間がかかった~

評価:★★★★★(5つ★満点))

※内容について、盛大にネタバレしています

 

 

【目次】

 

現場からの視点で書かれた本

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日本の陸運の9割がトラック輸送という現実

著者であるライターの橋本 愛喜さん(女性です)はかつて実家の金型工場を継いだ関係で(2013年に廃業)、得意先から金型を引き取ったり納品するためトラックでの中・長距離ドライバーとしてのキャリアをお持ちです。1日平均500キロ、多い時には800~1000キロ走行されていたそうです。


本書では著者ご自身の経験に留まらず、現役ドライバー達や運送会社への取材を元に、トラックドライバーが置かれた現状を業界内だけでなく、一般の人達にも読んでもらえるよう、分かり易い筆致で書かれています。執筆中に起こった京浜急行線とトラックとの衝突事故(2019年9年)も急遽盛り込み、現場まで足を運んで取材されていることもあり、トラックドライバーのみならず、物流業界、いや日本社会全体の問題にまで踏み込まれています。

 

国の血液

「日本の貨物輸送の9割超がトラック」という現実は、よく「国の血液」に例えられます。トラック輸送なしに私達の暮らしは成り立ちません。特に今はコロナ禍で、ネット通販の利用が拡大しており、物流量の増加とともに、ますますその需要が増大しています。が、「物流業界のトラックドライバー」がいかに過酷な環境で働いているのか読んでいて心が痛かったです。

 

各種類のトラックの特徴と特殊性

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トラックと言っても色々な車種がある

まず印象的なのは、トラックの車種ごとの特徴や、運転上つきもののリスクについて。トラックは「荷物を積んだ状態」を基準にブレーキが作られていること。日本の道路の特殊性について。そして大型トラックの死角の多さと、いかに一般車両と異なる点が多いかが分かります。
この本、運転教習所の教材にして欲しいくらいです。教習所と言えば、運送業界に若手が入ってこないのには、現在の免許制度が一因となっているのだということも、本書で初めて知りました。

 

全ての行動に”訳”がある

強引な幅寄せや急ブレーキ、必要以上に前の車両と車間を空けて(と見える)ノロノロ運転、堂々と路駐して(アイドリングしたまま!)、運転席を見ればハンドルに足を上げた格好で”サボっている”…よくトラックドライバーが顰蹙をかいがちな「マナーが悪い」とされる行動、これらが全て理由があるからなんだと著者は丁寧に説明します。皆必然の行動だった…!

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トラックドライバーにも人権がある

 

必要とされているのに居場所がない

私もアイドリングしたまま路駐したトラックの横を通る時は、やだなあ、環境にも(私の身体にも)悪そうと思っていましたが、車種によっては、エンジンを切る訳にいかない等事情があることが分かりました。何より、私たちの生活が必要とするからトラック輸送というインフラがあるのに、邪魔者扱いされたり、ネガティブな見方をされるのは切ないです。

しかも、トラックドライバーが安心して駐車して休める場所が、都市部には碌にないのだそうです。例えばトラックステーションは全国でもたった30カ所だとか。信じられません。

 

他にも郊外のコンビニでは、大型車Okな駐車場がある店もありますが、貴重なそのスペースに一般乗用車を駐車している不届き者もいるそうです…というか先日実際に見ました(ꐦ°᷄д°᷅)ヽ(`Д´#)ノ

 

そんな環境の中お客さんである荷主(倉庫や物流センター等)は、「時間通りに来い。遅れるな。でも(近隣住民への配慮のため)早く来るな、外で待機していろ」と言う訳です。でもトラック用の駐車場が無いエリアだったら?そう、路駐して待機するしかないのです。

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倉庫等の現場には早く着きすぎてもいけない

 

現場を知らない縦割り行政?

…といった惨状を知るにつれ、行政が現場の事情を知らないまま色々な法令を出していくのが問題なのではと思いました。交通ルールや労働環境を重視する法律は増加。道路交通法の改正による駐停車禁止の厳罰化や、大型トラックの高速道路80キロ制限に、時速90キロまでしか出せないスピードリミッターの装着義務、デジタルタコグラフを装着で、運転状況を監視。そして運転業のみに適用される「改善基準」など。どれも道路環境やトラックドライバーのためを思って作られたルールなのでしょうが、ドライバーらにとってはむしろ走りにくくなり、より一層労働環境は悪化し、そして昔に比べて稼げなくなったそうです。


深夜の高速のETC料金割引制度が、トラックドライバー達の長時間労働の大きな原因となっている問題も、もう…止めたげて!と思いました。

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過積載を強いられる話も辛かった

 

働き方改革」のしわ寄せ

働き方改革」が施行され、昔からすると連休が随分増えました。このしわ寄せをくらっているトラックドライバーが少なくないようです。地場でコンビニ配送などに従事するルート配送車は、普段以上に忙しくなるので、(大変でしょうが)まだ良いかもしれません。

 

その一方、倉庫や物流センターなどへの配送を担う中・長距離ドライバーの多くは、お客さんである荷主(ここでは倉庫や物流センター)がお休みとなるので、必然的に休みになってしまうそうです。 月の給料が(稼働日数に限らず)固定ならば良いですが、多くの長距離ドライバーの給与体系はそうではなく、稼働日が減ればそれだけ収入が減ってしまうそうです。 1運行の拘束時間は長いのに、休みが多いという辛い状況になってしまう訳です。

 

トラックドライバーは「底辺職」か

他にも色々問題がありすぎて、とてもここには書ききれません。今非常に過酷な労働状況におかれたトラックドライバーを指して「あんな底辺職にだけはつきたくない」という意見もあるそうです。大変失礼な話しで、筆者もそう言う人にはこの仕事はとても勤まらないと書かれています。「トラックの運転」はもちろん、「荷物を安全・無傷。定時に届けること」、むしろ後者が本職で、これら全てをこなせる人材は中々いないと感じました。

 

「日本凄い」で済ませたくない問題

また、著者は海外生活の経験から「日本の物流のサービスや質」が「世界でもズバ抜けて高い」と指摘されています。時間指定配達や、再配達のサービスが無料なのは、日本独自のモノだと言う事も始めて知りました。


外国人が運送業界に参入することが難しいのは、(入管法等の問題もありますが)この「サービスや質」の高さも一因だとか。しかも運転で死亡事故などを起こした際は、国際問題に発展する恐れもある、という事情もあります。

私は前職で外国人達と働いていましたが、確かに彼らは作業スピードへの対応や合理的は判断、器用さが際立っていますが、日本人一般からすれば、雑な人が多いです(全てとは言いません)。

 

だからと言って、「日本凄い」という気持ちにはとてもなりません。日本は行き過ぎだと思います。

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再配達問題は結構深刻です

宅急便の配達で時間指定した客が、在宅なのに「寝起きの顔を見られたくないから」と居留守を使う話には腹が立ちました。今は置き配が浸透してきましたが、再配達件数の多さが、実は排気ガス排出量の多さにつながる―心無い消費者のこのような態度の積み重ねが、環境問題に関係している―という話も考えさせられます。

 

職場でも好評でした

本書を読み通す事は、(適性が無さ過ぎて)運転を止めた自分には、結構辛い記憶が沸きあがる作業でした。それで時間もかかったのですが…


それが、職場(物流会社)で人に貸したら、「面白かった!! (*´∀`)」と好評でホッとしました。案外早く返却されたなと思ったら「○○さんも面白かったって!!✧٩(ˊωˋ*)و✧」って。

ちょ…又貸しですか(笑)。いいですけど、二人とも読むの早いなあ。

 

運転のプロだというだけでトラックドライバーは自分から見たら凄い存在です。また、日々恩恵を受けている側としても、感謝が絶えません。彼らの環境が少しでも改善されることを強く願っています。

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本当にご苦労様です

 

それでは、また!

『平木コレクションによる 前川千帆展』他 感想

また千葉市美術館へ行ってきました。開催中の『平木コレクションによる 前川千帆展』等の展示を鑑賞してきたので、感想です。

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美術館1Fエントランス

朝一で行きましたが、駅から美術館までのアクセスが徒歩で約15分(バスもあるけれど、バス停までがまた遠いんですよ)。往復だけで軽い熱中症状態?になりました。

www.ccma-net.jp

 

前川千帆(まえかわせんぱん:1888-1960)は、恩地孝四郎・平塚運一とともに「御三家」と称された、近代日本を代表する創作版画家です。京都に生まれ、漫画家として名を成すかたわら木版画を手がけ、清澄な彫摺と躍動感のあるユーモラスな造形により独自の作風を拓いたその作品は、今なお色褪せない魅力を有します。また近年、日本のアニメーション草創期に少なからぬ役割を果たした事実も掘り起こされ、マンガやアニメがクールジャパンの象徴として評価される今こそ再検証すべき作家と言えるでしょう。

(展覧会公式サイトより引用)


千葉市美術館は、「江戸時代の絵画、江戸~昭和初期の版画を数多く収蔵している」そうで、その縁でか今回のような版画家の展覧会が実現したのかな?と思いました。

 

前川千帆さんの作品群は、漫画家として出発されただけあって、全体的にゆるい感じの作風でした。厳しい習練を極めた末の隙の無い造形も良いものですが、こういうゆる~っとした感じも悪くはない。(千帆さんが習練をおろそかにしたという訳ではないですが)


展示されたあちこちで描かれたスケッチ帖や、それを元にした版画作品は、シンプルで無駄を排した描線で、これはこれで好きです。

新宿を描いた版画作品もありましたが、割と都会志向ではなく、田舎(特に温泉地)に材をとった作品が印象に残りました。女性をモチーフにした作品を見ても、農夫とか田舎の女性を描いている感じがします。

 

展示作品に添えられたキャプションですが、今回は観覧者へ親しみを持ってもらおうとした説明文が添えてありました。展覧会のポスターとなっているこのチラシの少女2人の作品なんて、「キャッキャウフフ (中略)これから食べるスイーツの相談でもしているのでしょうか…」なんて書かれていました。キャッキャウフフって。

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キャッキャウフフ


後、展示の終盤の岡山へ疎開中に作成された、ミニ手作り版画絵本シリーズ『閑中閑本』や蔵書票が良かったです。掌の中の、小さな宇宙。


その後、併設の『江戸絵画を笑おう』展も鑑賞。
仙厓や白隠歌麿や英泉の作品もあったけど、全体的に小粒感が。こっちもゆるい感じでした。

 

それから、常設展示に移動して、ふむふむと鑑賞していたら、なんと杉本博司の『劇場』シリーズの作品や、『海景』の作品群をまとまって見られました。。

bijutsutecho.com

 

ちょ…こちらがメインになってもいいんじゃない?

 

前川千帆さんにはこの人独自の良さがあるけれど、杉本博司氏では格が違うというか。想定していなかったので、一粒で三度美味しい訪問となりました。

 

『平木コレクションによる 前川千帆展』の会期は 9月20日[月・祝]まで。
(休室日;8月2日[月]、8月16日[月]、9月6日[月])

 

※おまけ

オリンピック公式音楽は、これで良かったのに。


www.youtube.com

 

それでは、また!

6月~7月の食の忘備録

暑い暑いいいながら、エアコンフル稼働です。

初夏から今頃まで良く食べている食べ物の記録です。

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金目鯛とトマトと椎茸の無水スープ(ヘルシオレシピ)

上の写真は、勝間和代さんのヘルシオレシピ(鯛のスープ)のアレンジです。水を加えなくても(金目鯛に少し白ワインふっただけ)具材からスープが出て美味しいし、生臭くもありません。ヘルシオ、本当に便利だしこれで作ると美味です。

 

塩したヨーグルトに目玉焼きを合わせた謎レシピが気に入って、良く作っていました。

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目玉焼き+塩ヨーグルト

自分はヨーグルトは甘くしたものはあまり好きでなく、塩味のヨーグルトをソースとして目玉焼きや肉等に添えた方が美味しい?と発見しました。このソースにすりおろしたニンニクやクミン、ミント等加えたら、トルコやイラン風になるけど、塩ヨーグルトだけで充分気に入っています(単にものぐさなだけ)

 

家族のつてで、家庭菜園されている方々から、時折大量の野菜をいただきます(有難いことです)。下の写真は生の春菊をサラダにしました。

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無限春菊

ネットで調べた無限春菊(生の春菊に、ツナや鶏ガラスープ、ごま油やごま等加えて和えただけ)が美味しかったです。レシピサイトがどこか見失いましたが、適当にまた再現します。

 

暑くなってきたら、セビーチェを良く作ります。ペルーの魚介マリネのようなものです。新鮮な生の魚介類が手に入り易い日本にぴったりのレシピじゃないでしょうか。

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セビーチェ作りにビニール袋は必須

いつも調味料等計らず、各分量を適当に放り込めば美味しく仕上がる、有難い料理だと思っています。白身魚(タコ、ホタテでも)、潰したニンニク、キュウリやトマトや玉ネギ等野菜類、オリーブオイルにライム汁、それに適当に家にあるスパイスや塩を合わせて、各具材から出てくる汁が本当に美味。だから汁も余さずいただきます。

 

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パクチーは必須とは言わないけど、あると良し

 

セビーチェを初めて知ったのは、高山なおみさんの『諸国空想料理店』がきっかけです。それ以来、暑い季節にはお世話になっています。

 

 

パクチーと言えば、この季節にはシンガポールチキンライスもちょくちょく作ります。土鍋一つで、ご飯とおかずがいっぺんにできる超スグレモノ料理。今は『きのう何食べた?』のレシピにお世話になっております。

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シンガポールチキンライス(映えない写真だ)

 

 

 夏場はトウモロコシご飯も良く作ります。普通のご飯だとあまり食欲が出難い季節です。

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トウモロコシご飯

今回は、包丁でトウモロコシの実を削いで入れず、一個一個手でもいでいったので、手間がかかりました…!時間に余裕がないと出来ないですね(でもその分美味しい)。

 

ご飯にはぬか漬けもいりますね!ぬか床ホント有難いです。

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ぬか漬けは夏でなくても漬けますが

 

 冷蔵庫にナスがわんさかあれば、麻婆茄子作ります。どうです、下の写真の中華鍋からうりゃっ!!と放り入れた感満載の盛り付けは(笑)

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"男の手料理"といった感じ

 

最近流行のクラフトコーラの元を購入して炭酸水で割って飲んでいました。これはそう高くないですが、1瓶1,500円位する高級品とか、なんですか、アレ…プルプル(((;゚д゚;)))プルプル

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これは1瓶500円代だったかな?

暑いのに、色々もぎゅもぎゅと食べていますね(笑)

 

それでは、また!