青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『平木コレクションによる 前川千帆展』他 感想

また千葉市美術館へ行ってきました。開催中の『平木コレクションによる 前川千帆展』等の展示を鑑賞してきたので、感想です。

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美術館1Fエントランス

朝一で行きましたが、駅から美術館までのアクセスが徒歩で約15分(バスもあるけれど、バス停までがまた遠いんですよ)。往復だけで軽い熱中症状態?になりました。

www.ccma-net.jp

 

前川千帆(まえかわせんぱん:1888-1960)は、恩地孝四郎・平塚運一とともに「御三家」と称された、近代日本を代表する創作版画家です。京都に生まれ、漫画家として名を成すかたわら木版画を手がけ、清澄な彫摺と躍動感のあるユーモラスな造形により独自の作風を拓いたその作品は、今なお色褪せない魅力を有します。また近年、日本のアニメーション草創期に少なからぬ役割を果たした事実も掘り起こされ、マンガやアニメがクールジャパンの象徴として評価される今こそ再検証すべき作家と言えるでしょう。

(展覧会公式サイトより引用)


千葉市美術館は、「江戸時代の絵画、江戸~昭和初期の版画を数多く収蔵している」そうで、その縁でか今回のような版画家の展覧会が実現したのかな?と思いました。

 

前川千帆さんの作品群は、漫画家として出発されただけあって、全体的にゆるい感じの作風でした。厳しい習練を極めた末の隙の無い造形も良いものですが、こういうゆる~っとした感じも悪くはない。(千帆さんが習練をおろそかにしたという訳ではないですが)


展示されたあちこちで描かれたスケッチ帖や、それを元にした版画作品は、シンプルで無駄を排した描線で、これはこれで好きです。

新宿を描いた版画作品もありましたが、割と都会志向ではなく、田舎(特に温泉地)に材をとった作品が印象に残りました。女性をモチーフにした作品を見ても、農夫とか田舎の女性を描いている感じがします。

 

展示作品に添えられたキャプションですが、今回は観覧者へ親しみを持ってもらおうとした説明文が添えてありました。展覧会のポスターとなっているこのチラシの少女2人の作品なんて、「キャッキャウフフ (中略)これから食べるスイーツの相談でもしているのでしょうか…」なんて書かれていました。キャッキャウフフって。

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キャッキャウフフ


後、展示の終盤の岡山へ疎開中に作成された、ミニ手作り版画絵本シリーズ『閑中閑本』や蔵書票が良かったです。掌の中の、小さな宇宙。


その後、併設の『江戸絵画を笑おう』展も鑑賞。
仙厓や白隠歌麿や英泉の作品もあったけど、全体的に小粒感が。こっちもゆるい感じでした。

 

それから、常設展示に移動して、ふむふむと鑑賞していたら、なんと杉本博司の『劇場』シリーズの作品や、『海景』の作品群をまとまって見られました。。

bijutsutecho.com

 

ちょ…こちらがメインになってもいいんじゃない?

 

前川千帆さんにはこの人独自の良さがあるけれど、杉本博司氏では格が違うというか。想定していなかったので、一粒で三度美味しい訪問となりました。

 

『平木コレクションによる 前川千帆展』の会期は 9月20日[月・祝]まで。
(休室日;8月2日[月]、8月16日[月]、9月6日[月])

 

※おまけ

オリンピック公式音楽は、これで良かったのに。


www.youtube.com

 

それでは、また!