青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

手作り食考

初めに。


料理が好きな私でも、もし自分に子がいて、かつ超忙しい時に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」なんて言われたら、間違いなく怒り狂います(「お前が作れよ!」です)。この発言は、今の子育て世代に関わる話でもあるので、そこは私は絡まないのですが、それはそれで。

 

立場は色々でも、フラフラになってまで自炊にこだわることは無いと思います。

その上で、自炊を推すんですけれども。

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よだれ鶏(説明が無いと何だか分からない写真)

 

【目次】

 

料理が好きで良かった


自炊中心、出勤時もお弁当持参が多いです。

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よだれ鶏の余りと、味玉でミニ丼♪


経済的理由が大きいですが、外食・市販の弁当類だと段々辛くなってきます。
辛いというか、味付け、油っこさ(酸化した油もダメ~(´;ω;`))、野菜の量等に違和感があるので、続きません。「食」は生命の維持、健康の面もありますが、精神的な側面も大きいと思っています。

大量生産の食事は、どうしても流通や効率の関係で「食べ物」というより「工業製品」となってしまうので、仕方がありません。違和感のない外食もありますが、それはそれなりの価格がつきもの。そうそう利用してはいられないのがつらいところ。

 

お弁当やフードデリバリーは、ゴミ(容器)が増えるという問題がありますしね。

 

それと、前述した通り(大変ラッキーなことに!)私は料理することがとても好きなのです。

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砂抜き中のアサリ。まだ生きています。

自分一人の時は凄く簡単に済ませてしまいますが(栄養バランスは考えますよ!)献立を考えるのも全然苦ではありません(手際は悪いですけどね)。料理はクリエイティブ。冷蔵庫に今あるのものを使って(もしくは買い物で食材を追加して)如何に無駄なく美味しく作るか考えるのは楽しく、出来た物を味わうの勿論も快く、片付けもちゃんとします。作ることでも、精神面でのメリットがある感じです(気分転換や癒し)。

 

コンビニ弁当は食べません

 

それに、コンビニ弁当の類は、私は基本食べないようにしています。
意識高いのを気取っている訳では無く、前職の食品工場でコンビニ弁当の製造に携わっていたので"どういう風に作っているか"知っているからです。あれを見ていれば「…結構です」となります。

顧客の某コンビニチェーンは、フード類については結構評価が高いところですが、今は製造現場は外国人が多いですからね。衛生観念とか、一般の日本人とは違います。
(勿論、お客様であるコンビニチェーンは、定期的に抜き打ち検査をして、製品の衛生状態をチェックしています)

 

まあ、工場で製造される食品を敵視していたらきりがありませんが、それでもなるべく「素材」レベルで購入して自分で調理したものの方が安全だし、気持ちの上でも違います。だから、必然的に自炊となります。勿論、鮮度は重視していますよ。やみくもに自炊を賛美しているわけではありません。

 

テクノロジーの力を借りて効率化

 

経済的に許されるなら、今は優れた調理家電が沢山あるし、勝間和代さんが実践されているようなロジカルクッキングをするようにすれば、自炊も随分効率化ができると思います。(しかも健康的で美味しい)

 

どちらを取るべきか

 

先月は、オンオフともに非常に忙しかったです。

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自家製ベーコン使用のカルボナーラ。自家製ザウアークラウト・青菜も添えて


だから、外食やテイクアウトにも少々頼ったのですが、ある駅ナカ弁当屋で買ったおにぎりセットが口に合わず違和感がありました。工場製でしょうが、保存料とか、油なのか、(私にとって)変な風味が口に残ってちょっと気持ちが下がってしまいました。

だからその後、なるべく自炊を心掛けましたよ(それはそれで結構辛かった…)。

結果的に栄養のバランスがさえ取れていれば、簡単なもので良いと心掛けていましたが、そんな中でも料理が気分転換になるのか、ちょっと凝ったものをつい作ってぐったりしたりもしました(笑)

 

でも、自炊が苦手な上に忙しい方なら、他の選択肢もありだと思います。辛い自炊を頑張るよりは、外食やお惣菜に頼って、その分出来た時間でリフレッシュする方がよっぽど良いかもしれません。

 

「食」にまつわる文章

以下、「食」について読んでいて印象的だった文章のご紹介です。

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山芋のグラタン

 

元気が出る食事

雑誌『ku:nel Vol.57 2012年9月号』の記事「カレーなる饗宴」で紹介されていた、美術コーディネーターの小澤泰子さんの作る、人呼んで「魔女カレー」。

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紹介されていた他の方のカレーも美味しそうだった

色々な材料を煮込んで、一度に30人分、3日かけて作るそうです。最後には肉も野菜も形がなくなって凄く美味しそうです。

 

一度に30人分作るのは、夜遅くまで仕事をしている女性たちを応援したいから。密閉容器に小分けにして、仕事仲間や友人たちに渡している。
(中略)「コンビニ弁当やレトルトじゃ元気は出ない。私も経験しているからわかるんです。簡単なものでも手作りのものの方がずっといい。これは緊急支援カレーなんです」


(『ku:nel Vol.57 2012年9月号』42~43ページより引用)


素晴らしいですね。私も作るだけならやれそう…でも社会性0なので、渡す相手がいません(笑)

 

胃がふくれても…


大原扁理さん著「年収90万円でハッピーライフ」で、食について言及されているくだりが興味深いです。

 

コンビニでアルバイトしていたとき、コンビニ弁当ばかり買っていく人って、独特の雰囲気がありました。胃はふくれても、気がふくれてないというのかなぁ。量は沢山買っていくわりに、いつ見ても元気ないし、覇気もないし、色気も洒落っ気も、あらゆる気がない人が多かった。たまに殺気が漂っていたけど、偶然でしょうか。


(「年収90万円でハッピーライフ」99ページより引用)

 

 

年収90万円でハッピーライフ (ちくま文庫)

年収90万円でハッピーライフ (ちくま文庫)

 

 
コンビニ弁当、作っていましたよ…!(自分は全然食べなかったから実感として分からない)

人の手が恋しくなる


雑誌『婦人公論 No.1556 2020年12月22日・2021年1月4日合併特大号』での詩人の伊藤比呂美さんのエッセイは、"あたしはこの頃人の手で作られたものに飢えているような気がする。"という文章で始まります。

コンビニのおにぎりもサンドイッチもサラダもゆで卵もサラダチキンも、味に飽き、匂いに飽き、添加物に飽き、それから何より、食べるものがすべて機械で作られていることにとことん飽きた。
(中略)料理は夫が死んだときにやめた。自分で自分のために煮炊きすることは、あたしにとっては料理じゃなかった。だから今しかたなしにやっている自炊も料理じゃない。適当に買ってきた野菜や何かを食べられるようにするだけだ。


(『婦人公論 No.1556 2020年12月22日・2021年1月4日合併特大号』54ページより引用)


やはり、流通している食品は、工業製品のようなもの。分かります。
それで、伊藤さんはスーパーやコンビニではない、街の小さなパン屋さんへ通っては
"人の手が(食べる人のことを考えながら)作ったものをゲット"する生活になっているそうです。

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自家製ドライトマト・ベーコンでサンドイッチ


食はコミュニケーションなんだなあとこのエッセイを読んで思いました。誰かと一緒に食べる、誰かのために作る、誰かが自分のために作ってくれる…

個人的には、孤食も良いものだと思っていますが、確かに自分一人だと(栄養バランスだけ考えて)凄くそっけない食事になりますね。

 

今日も自炊しました。御馳走さまです。

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豚とあさりの アレンテージョ

 

『うたえ! エーリンナ』佐藤 二葉 著 感想

新年度が始まりましたね。やっと落ち着いてきた…(体調も回復してきた…涙)


さて、佐藤 二葉さんの古代ギリシャ百合コミック『うたえ! エーリンナ』の感想です。

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この表紙絵が泣かせる

 

 


※注:盛大にネタバレしています
評価:★★★★★(5つ★満点))


【目次】

 

概要


古代ギリシャの女性の詩人の一人であり、長編詩『糸巻棒』の作者として今も知られるエーリンナ。彼女がレスボス島の偉大な女性詩人サッポーと同時代人だった…という説(現在はヘレニズム時代初期の人だという説が有力)を種子として、著者が(古代ギリシャへの豊かな知識と深い洞察を元に)創造の翼を広げて描いたのが本作です。

 

はじめは、ほんわかした女学校の百合な雰囲気でしたが、プロアマ問わず、全ての"表現したい人達"とそれを支える周囲の人達への応援歌となっていった感じがします。

 

著者について


著者の佐藤二葉さんは、俳優・演出家・リュラー奏者に作家と大変マルチな才能をお持ちの方で、本作で更に漫画家の肩書が加わったようです。ICU出身で語学も堪能なのでしょうね。

本作については出版時、「古代ギリシャの百合漫画が出た」とネットで話題となったのは知ってはいました。ですが、作者様を意識したのは演奏者として、「イリアス」や「アンティゴネ―」を古代ギリシャ語で詠唱されている動画を見つけた時です。これが美しくて…

 

二葉さんは、商業漫画の出版は、これが初めてだということですが、絵も内容もとてもこなれていて、とてもそうとは思えない。著者のpixivやnoteもがっつり拝見させていただきました。

 

あらすじ


女性が自由に生きられる時代では無かった、紀元前6世紀の古代ギリシャ、レスボス島。大詩人サッポーが開いた「女学校」には、嫁入り前の少女達がサッポーに預けられて詩や歌や踊りを学んでいます。

 

皆、花嫁修業として来ている中で、「詩人になりたい」と願うちょっと変わった女の子、エーリンナが親友となるバウキス達仲間達と過ごすかけがえのない日々が綴られます。

 

感想

表現することの"呪い"と"祝福"


凄く良かったです。ネットで他の方の感想を見ていると、ヒロインエーリンナと親友のバウキスの友愛(百合?)が尊いという意見が多かったのですが、自分はむしろ、表現者として生まれついてしまった者がまとう"呪い"と"祝福"、そして"祈り"」を描き切っているところにうたれました。

以下、著者の本作出版によせて、の文もとても良かったです。深く頷かされました。

futaba-amethyst.blogspot.com

 

個人的なものから普遍性へ


著者が時代も文化も人種も、遥かにかけ離れた少女に自分の憤慨や悲しみや喜びを重ねて寄り添った時、エーリンナの生を"生きた"のでしょう。

それで作品に命が宿り、それを読む私達読者の多くが、本作を「自分の話」として読むことができるのだと思います。


ちょっと違うけど、ジブリの映画『かぐや姫の物語』(あれは男性の高畑勲監督の手に寄るものですが)を見た現代の女性達が、自分達の感じていた生きづらさを作中のヒロインの中に見つけて共感したことを思い出します。

 

本作のキャラクターの関係性や、物語の展開は、奇をてらうことなく王道です。
ですが、作者様が自らの痛みやもがき、こう生きるしかないという"業"のようなもの―極めてパーソナルなもの―を突き詰めて昇華した結果、王道で、普遍的なものに通じた名作となったのかなあと思いました。

 

「ペンは剣よりも強し」

 

エーリンナの詩の力のお蔭で、ほんの刹那の彼女たちの"スコレー"("自由時間"の意。"スクール"の語源)はかけがえのない時間として千年も二千年もの時を超えても残りました。

 

「ペンは剣よりも強し」とは、こういうことでしょうか。そう言えば、英雄達が死に絶えても、彼等の国々が遥か過去となっても、そのいさおしが詩(うた)によって今でも顕現されるのは「ことば」ならではの強みです。詩人の優れた詩(うた)は、自分自身だけではなく、歌われた人達の名も永遠にする。皆が死に絶えた後でも、「言葉」がある限り、命を保つ。


何て素晴らしい存在なのかと思いました。

 

コミックの表紙絵が、竪琴を持つエーリンナと、"糸巻棒"を持つバウキスというのも、その後の彼女達を考えると泣かせます。

 

ちょっと引っかかった

ちょっと引っかかったのは、エーリンナやバウキスが、所詮召使(というか奴隷)を使っている階層の人達だということ。このような女学校に行けること自体、詩人になるとか結婚しないとか言っていること自体、奴隷に生まれついていたらありえないよなー、恵まれた立場の人の発現だよなと思っていました。

 

以下名言

 

エーリンナ
「(英雄叙事詩が謡われているのを聞いて)まるで神々や英雄たちが私に直接語りかけてくるようで…」

「(私は)この世界で生きるのに向いてないみたい」

「素晴らしい詩は幸せな時間を閉じ込めておける」

「千年も二千年も私たちの楽しい時間が残るように」

「糸をつむぐ指のように ことばを糸にして 神様の声を―イメージを織り上げて 物語を伝えよう」

 

サッポー
「人間が素晴らしい歌を歌うということは その人を通じて神が歌っているということ」

「(独唱)でも歌は一人じゃ音楽にならないわ 世界と調和して歌うのよ」

 

アンドロメダ
「調和するのにみんなと同じことをする必要はない」

 

うちのミルテ

 

『花冠』でミルテ(ギンバイカ)の冠が描かれていたのに胸キュン♪うちのミルテはまだ冠作る程ではないですが(作るんかい?)。

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これからが楽しみです

 

「お大事にね」

スエズ運河座礁していた大型コンテナ船、やっと離礁しましたね!!良かった良かった。

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運河の春


せっかくこんな本や…

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頑張って読みました

こんな本で勉強していたのに、だいぶ抜け落ちていましたw

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ひいひい言いながら読了

愛媛船主、愛媛オーナー、そういえばあったあった。用船契約とかパイロット、コンテナ船大型化の流れとか。今回の事件で今まで覚えたことを思い出しました。

 

 

さて、今月は恐ろしく忙しく、終盤はちょっと体調を崩してしまったのですが、その時思ったことです。

 

【目次】

 

とうとう疲れが出た

 

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この季節にダリアっていったい?


3/29(月)、つまり週明けの日は都内の職場へ出社予定でした。
でも、連日の疲れが出たのか、力が入らなくて「今日は在宅勤務にしよ(´・ω・`)」となりました。勿論、業務の状況を見て今日は在宅で大丈夫!と思ったからです。

 

熱もなく、休む程ではないけれど、都内まで往復するとか、出社したらやらなくてはいけないあれこれがちょっと辛く。

 

この人何言っているの!?

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色々な花が咲きだしました

それで、「今日は出社予定でしたが体調と業務の状況を見て在宅にします(´・ω・`)」とメールしたら上司Aから「大丈夫(´・ω・`)?体調悪いなら有給休暇に切り替えてもいいよ」と返信が。

 

ええ?積極的に休みなさいと言っているよこの人…

 

その後、その上の上司Bから電話があり「(;゚д゚)大丈夫なの!?」とヒアリングされました。「最近あんなことやこんなことで○○さん(本名)へ負担がかかっていたと思っていたんだよ、体調悪い時は休みたい時に休めるような体制にしていくようにするから」とも。

 

体調悪い時は休んでいいと言われた…!(驚)

 

結局、状況を見て今なら大丈夫と判断して、この日は午後半休をいただくことにしました。更に上の上司Cからも、メールで「お大事にね、ゆっくり休んでください」と連絡が来ました。

 

なんというホワイトな声掛け…!

 

カルチャーギャップ

 

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葉っぱだけでも良いものです


「さっきからお前は何当たり前のことでいちいち感激しているんだ?きもい」と思われたとしたら…あなたはおそらく大変まともな環境におられるのだと思います。

 

私が前働いていた食品製造業(スーパーブラック企業)では、高熱が出ても 当日、「高熱で本日休みます」と電話したら「何故昨日のうちに申告しないんだ、困るよ」と怒られるのが普通だったからです。


38℃以上の熱では問答無用で休みというルールはありましたが(ラインに入る前に検温は必須)下手すると「何で熱出すんだよ」と白い目で見られる始末。

 

流石、労働組合の無い(過去に内部で作ろうとしたけれど上層部に潰されたらしい)ブラック企業様。労働基準監督署に睨まれることで定評のある札付きの会社。本当に素晴らしいですね。

 

私がいた工場のラインは毎日、時間毎に要員○○名で何時から何時の間に◆□◎の品目を○○○○個生産する…と工程の計画をたてて進行しているので、当日「気分悪いから休みたい」はNG(笑)上記の通り、38℃以上の熱が出て、かつ必ず病院へ行って診断書を出してもらうことが病欠のルールでした。

 

それでも、前日の夕方までに、「明日気分が悪いから休ませて」と申告したら、代わりの派遣さんを手配できるんだそうです。そう前もって分かんねーよ!と言っても無駄。

どんなに具合が悪くても、「当日休みます」なんて"迷惑"だという文化なのです。

 

私、死んだのか?

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もっさもさと咲き誇っています

だから、今の職場のこのような対応は、(有難いけれど)びっくりしてしまうのです。
今回のような「(発熱もないのに)気分が悪いので休みますor早退します」ということを言ったのはここへきてからおそらく初めてかと思いますが、対応がまともで目から汗が出てしまう心境です。

 

こんなに良くしてもらって、私死んだの?そういえば、最近あちこちで随分花が咲いて綺麗だし(※春だからです)…

 

仕事では相変わらずせわしなくて何かとキーッとなる日々ではありますが。

それでは、また!

『舞姫・うたかたの記―他3篇』(岩波文庫)森 鷗外 著 感想

連日の疲れが出たのか、いまいち力が入らないので(コロナと呼ばないでね)、明日は在宅勤務にしようかな?と思いつつ近所を花見散歩していました。

 

疲れたけれど、とても綺麗でした…


さて、森 鷗外の初期の短編集、『舞姫うたかたの記―他3篇』(岩波文庫)の感想です。以下収録作順に感想を述べていきます。

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舞姫・うたかたの記―他3篇 (岩波文庫 緑 6-0)

舞姫・うたかたの記―他3篇 (岩波文庫 緑 6-0)

  • 作者:森 鴎外
  • 発売日: 1981/01/16
  • メディア: 文庫
 

 

※注:盛大にネタバレしています
評価:★★★★☆(5つ★満点))


【目次】

 

私と『舞姫

 

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夏目漱石『こころ』を読んで、思うことあって、森 鷗外の初期の代表作『舞姫』を○○年振りに再読しました。この小説は、高校生の頃現代文の授業で、それこそ解剖するように、一字一句、筆者のことや時代背景等にわたり精読しました。おそらく、大学の文学部の授業のレベルだったと思います。


当時は、主人公の豊太郎に対して何故か怒りを覚えることはありませんでした。気まずさはありましたが。

 

今読み返すと…
「この恩人(相沢)は彼(エリス)を精神的に殺ししなり。」
→ちがーう!!殺したのはお前(豊太郎)だ!はき違えるな(怒)。大体、ほっておいたら優柔不断に"宣告"を先延ばしにしていただけだろう、お前は。一番嫌な役を人にやらせといて、結局発狂したエリスに寄り添ってこの先の人生を送る覚悟もないまま帰国。それで逆恨みとは勘違いも甚だしい。おたんこなす。あほんだら。


それから、読み返していて「こんな古文か漢文みたいな読みづらい文を「現代文」の授業で扱っていたのか」驚嘆していました(当時はそこまで考えが及ばなかった)。


そして、この作品が、そんなに文学として「名作」と言われる程のものかと疑問に思いました(『こころ』は名作だと思いますが)。文学史・時代の証言的な意義はあるかもしれませんが、そうレベルの高いものとはどうしても思えない。

 

しかし、この時代でも「本当の自分」なんてテーマが出てくるんだなあ、と感慨深いものがありました。"自由"に羽を伸ばして飛び回ったつもりが、足に縛り付けられた糸の一端は他の人が握っていた…なんてところが切ないです。

 

うたかたの記


読書メーターに似たようなことをコメントされていた方がいますが、少女漫画でラノベでした。著者は、ドイツにいたリアルタイムで、ルートヴィッヒⅡ世の死去となる事件の報に接して、この話を書いたとか。それを考えると時事問題に材をとった二次創作品とも言えます。

 

文づかひ


男女関係ではないけど、「決してそう悪い人間では無い、でも好きになれないんだ、ダメなの」と言うこと、確かにあるあるです。これは、鷗外自身の声のように思えます。


イイダ姫は意に染まぬ結婚から逃れられたけれど、宮廷は自分の居場所にするのはちょっと寂しくないですか?「礼知りてなさけ知らぬ宮の内こそわが冢穴(つかあな)なれ」と自分で言ってしまっているし。

 

『そめちがへ』


正直駄作だと思います。鷗外にも不得意なジャンルがあるのだなあと感じました。

同じ題材・テーマでも、山本周五郎がこれ(花柳界の女達)を描いたら、全然違ったのではと考えています。

 

『ふた夜』(翻訳作品)


"悲恋もの"というには、あまりにもはかない縁。昔の戦争は、ちんたらやっていたのですね。

 

感想は、以上になります。

それでは、また!

『ニューヨークで考え中 3』近藤 聡乃 著 感想

今日は、都内・地元でのそれぞれの病院・薬局へと、計4箇所梯子をして、疲れました。自分のための用事で、贅沢な話ですが…


さて、近藤 聡乃さんのコミックエッセイ『ニューヨークで考え中』3巻目の感想です。(まさか3巻目が出るとは思わなかった…!)

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ブクオフにて購入

※注:盛大にネタバレしています
評価:★★★★☆(5つ★満点))

 

ニューヨークで考え中(3)

ニューヨークで考え中(3)

 

 
【目次】

 

繊細な絵と作風


近藤 聡乃さんの絵が好きです。巻を増すにつれて絵も格段に進化していますが、2巻3巻辺りのニューヨークの街角の風景や自然の描写がとても美しいです。でも、精緻に描き込まれていても、抜け感を上手く出して見ていて疲れないのが凄いです。人の顔なんかの描写も、少ない要素で繊細かつ的確に描いておられます。 

 

文字も、全て綺麗な手書きで描かれています。連載の回数と、その回の日付(西暦)を漢字で書いているところが好き。枠線も、これはおそらく手書きで引いていると思います。

 

全体的に閉塞感が強かった


とはいえ、この3巻の執筆時期は、トランプ政権となってからの2017年暮れ~コロナ禍でニューヨークがロックダウンとなった2020年9月始め。そのせいか、1,2巻にあった気楽さ、のびやかさが無く、全体的に閉塞感がある雰囲気で描かれています。


コロナ禍に加えて、近藤さんご夫婦は2020年の4月始めにソーホーのご自宅が浸水事故で一時的に転居(元の自宅はコロナのせいもあり修復工事が遅々として進まない)という災禍に見舞われます。これはきつい。

 元々、ニューヨークでの日々のささやかなこと―どちらかというと他愛ないことを―淡々とつづったエッセイでした(勿論、異国でマイノリティのアーティストとして感じる様々なことが繊細に織り込まれていたのですが)。何ていう事の無いものを読ませるのは、創作者の腕の良さで、そこが良かったのですが、結果的にこの巻は、著者のおかれていた状況の厳しさを浮かび上がらせています…全世界が厳しい状況(今も)ですけどね。

後、心配しているのは、今アメリカではアジア人(特にアジア人女性)相手のヘイトクライムが増えていること。コロナの元凶(と書いていいですよね?)である中国人に見える人が標的になっているようですが、あちらから見れば、中国人・コリアン・ベトナム人・日本人は一緒に見えるでしょう。著者の無事を祈ります。


この本の最後では、なるべく前向きに終わらせようという著者の意志が感じられますが、実際まだ"希望"は遠いのだなあと読んでいて感じました。

 

創作者としての誠実さ


自宅からの一時退避が、結果的にBLM運動の余波で起こった暴動に会わずに済んでいたようです。ご自分で書かれていますが、その時にソーホーにいたら恐ろしかったでしょう。


あまり表だって描いてこられなかったですが、アメリカに東洋人である著者が暮らしていて、嫌な思いをすることも結構あったと思います。だから、他のマイノリティへの目配りがこの巻で出てきたように感じます。人種問題から、ご自分の過去の作品の振り返りをされている「二百六話」あたりは、作者の創作者としての誠実さが伝わってきます。

 

ニューヨークの春

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マメナシではなく桜の花



「百九十九話」で友部正人さんの詩が一部引用されていますが「"春よ、あなたはマメナシの花…"」というこのフレーズが、最近の桜の花々を見るたびに浮かびました(花が咲く様が似ているそうです)。ニューヨークの春の風物詩はマメナシの開花なんですね。

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東京の春です

今、都内も地元もすっかり春一色。桜が満開で本当に綺麗です。

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これはコブシの花

 

「Comfort Food」


これは、3巻ではなくて2巻の掲載されていたのですが、読み返していたので。

 

アメリカで「Comfort Food」と言われるチキンスープについて。「アメリカ人が風邪の時に食べる定番」だそうですが、読んでいて食べたくなって「もどき」を作りました。鶏ガラ・コンソメスープの出汁に野菜を入れて煮たスープです。

 

今月は余りに忙しくて、店屋物ばかりでは気持ちがすさむ!と一度に沢山作って、ゆっくり消費しました。まだまだ改善の余地はありますが、こういうほっとする定番のスープがあるのは良かったです。改良版をまた作るつもり。

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だいぶ消費した後。映えない写真…

それでは!

極端な、たとえ

東京は、桜も満開、葉桜になってしまったものもありますね。

2年前に書いた文を発掘したので少し直して掲載します。

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大島桜か?同じ木に白い花やピンクの花もあり

【目次】

 

女性は家族のケア担当?


職場で上司の方(男性)が部下の社員さん(女性)に

 

「あまり残業しないで早く帰ってあげて(家族の為に)」

 

と言われていましたが、少しばかりもやっとしてしまいました。

 

それに続いて、その上司が帰宅した時の話になったのですが
奥様がまだ帰宅されず(仕事かどうか不明)、下の子供が一人でカップラーメンを食べているのを見て

「可哀想になっちゃったよ」と言われていました。

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一時期ハマっていたヴィーガンヌードル(担々麺味)

 

全く悪気は無いだろうし、子供を思っている親の発言とも思えますが、ますますもやもや…

 

可哀想って何が?


(言わないけど)この時、私は以下のようなことを思っていました。

  1. 当然のように「女性が家族のケアを担当する」って思ってない(´・ω・`)
  2. 食べたいものを自分で調理(カップ麺にお湯入れるのも"調理"だと思います)して用意するなんて立派なお子さんだなあ。少しずつでもレパートリーを広げていけばいいのでは?


私がそう思うのは、両親が共働きの家庭で育ち、早いうちから食べる物を自分で用意してがっついていたからです。

 

母は、大体夕食やお弁当を作ってはくれていましたが(私は恵まれていたと思います)、10代なんて、一日5食ですからね。電子レンジ調理やカップラーメン、袋麺、チャーハン程度の"調理"は早い段階でなんとかしていました。

 

立場が違うと「ハァ?」


それに…その時「なんだかなあ」と思ったのは、前の職場で一緒に働いていたフィリピーナ達を見ていたからです。子供を本国の家族に預けて海外(日本とか)へ出稼ぎしている子持ちフィリピーナからすると「ハァ?」なのではないかと(怖くて聞けない)。

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もう満開になってしまった桜


接していて実感していましたが、フィリピン人達は心身共に人と人との距離が近く、そのせいか子供を産むのも大変早いです。カトリック教徒が多くて堕胎はタブーという風土もあり、高校生位で最初の子を産む人もいます。自分達が食べていくのも厳しい生活の人が多いのに。そして、男の方は逃げる奴も少なくない。


そうしたら、どうなるかというと、親元にまだ幼い我が子を預けて、海外に出稼ぎに行きます。というか、大抵の若いフィリピン人達は、元々一家に仕送りするために海外出稼ぎします。地元では中々良い仕事が無いから。

 

若い頃からかわいいさかりの我が子を実家に預けて海外出稼ぎする事は彼女達には「常識」だそうです。

異国で稼ぎ仕送りする事で必死でそうそう帰国出来ない。今ならSkypやらSNSを駆使するのでしょうが、それでも家族を大切にする彼らには相当きつい状況だと思います。

 

口には出来なかったけれど


話が戻りますが、お母さんの帰宅が遅くて、子供が一人でカップラーメン食べていても良いじゃないですか。少なくても、基本毎日お互い会えるんだから。

言いませんけどね。例えが極端すぎるし、なんだか説教臭くなりそうだったので。
日本人には日本人の大変さがあるけれど、フィリピン人達が向き合っているハードな状況には負けるのでは?と正直思っています。


ちなみに、フィリピン人は、日清のシーフードヌードルが好き…というのは、大変古い情報だそうですが、○年前、私もじかに聞きました。「帰国時に、1カートン買って持ち帰る」とか。

 

それから、フィリピンのポルボロンという菓子が好きなのですが(お土産で何度かいただいた)、日本じゃあ中々手に入らないです。元はスペインの菓子らしいですが、フィリピンのものは独特なんですよね。

徒然日記(2021/3/20)

お彼岸ですねえ。本日夕方の地震にあわれた地域の方々、大丈夫でしたか?私は首都圏の我が家にいましたが、結構長くて大きくて怖かった…

 

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ホムセンにて販売されていたオリーブの木(販売価格180万円也)


今週もウィークデイは大変忙しかったですが、やっときた週末の本日も何かと予定があり、落ち着かなかったです。


今日はかねがね欲しいと思っていた多肉植物の探索へと郊外のホームセンターに行きました。疲れて家で寝ていたかったけど、平日働いている時も、この週末の予定を夢見ていたから頑張れた…!いい気分転換にはなりました♪

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ホムセンのカフェにてランチのカレー

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観葉植物エリアにて

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「Summer sun」という植物(あまり頭のいいネーミングではないような…)

 

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多肉植物の扱いが充実した店だったのに


結局お目当ての種類の鉢は取り扱っていなく、別の子を我が家にお迎えすることとなりました。

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こちらのメセン(帝玉)を一鉢購入


その後、食材の買い物や整体へ行きましたが、全て「自分のため」の予定をこなしたので、それで「落ち着かない」なんて贅沢な物言いですね。

 

でも、整体は疲れ気味の時に施術を受けると疲労がドッと出る時があり、今日は正にそれでした。今これを書いている時もしんどい…

 

フラフラで夕飯の準備の前に「ちょっと休息」とぶっ倒れたら18:09に地震(笑)

 

皆様も、ビックリされたと思いますが、取りあえず落ち着かれて休まれることを(お仕事の方もおられるでしょうが)願います。

それでは!

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お花の販売エリアも華やかな季節になりました