連日の疲れが出たのか、いまいち力が入らないので(コロナと呼ばないでね)、明日は在宅勤務にしようかな?と思いつつ近所を花見散歩していました。
疲れたけれど、とても綺麗でした…
さて、森 鷗外の初期の短編集、『舞姫・うたかたの記―他3篇』(岩波文庫)の感想です。以下収録作順に感想を述べていきます。
※注:盛大にネタバレしています
評価:★★★★☆(5つ★満点))
【目次】
私と『舞姫』
夏目漱石『こころ』を読んで、思うことあって、森 鷗外の初期の代表作『舞姫』を○○年振りに再読しました。この小説は、高校生の頃現代文の授業で、それこそ解剖するように、一字一句、筆者のことや時代背景等にわたり精読しました。おそらく、大学の文学部の授業のレベルだったと思います。
当時は、主人公の豊太郎に対して何故か怒りを覚えることはありませんでした。気まずさはありましたが。
今読み返すと…
「この恩人(相沢)は彼(エリス)を精神的に殺ししなり。」
→ちがーう!!殺したのはお前(豊太郎)だ!はき違えるな(怒)。大体、ほっておいたら優柔不断に"宣告"を先延ばしにしていただけだろう、お前は。一番嫌な役を人にやらせといて、結局発狂したエリスに寄り添ってこの先の人生を送る覚悟もないまま帰国。それで逆恨みとは勘違いも甚だしい。おたんこなす。あほんだら。
それから、読み返していて「こんな古文か漢文みたいな読みづらい文を「現代文」の授業で扱っていたのか」驚嘆していました(当時はそこまで考えが及ばなかった)。
そして、この作品が、そんなに文学として「名作」と言われる程のものかと疑問に思いました(『こころ』は名作だと思いますが)。文学史・時代の証言的な意義はあるかもしれませんが、そうレベルの高いものとはどうしても思えない。
しかし、この時代でも「本当の自分」なんてテーマが出てくるんだなあ、と感慨深いものがありました。"自由"に羽を伸ばして飛び回ったつもりが、足に縛り付けられた糸の一端は他の人が握っていた…なんてところが切ないです。
『うたかたの記』
読書メーターに似たようなことをコメントされていた方がいますが、少女漫画でラノベでした。著者は、ドイツにいたリアルタイムで、ルートヴィッヒⅡ世の死去となる事件の報に接して、この話を書いたとか。それを考えると時事問題に材をとった二次創作品とも言えます。
『文づかひ』
男女関係ではないけど、「決してそう悪い人間では無い、でも好きになれないんだ、ダメなの」と言うこと、確かにあるあるです。これは、鷗外自身の声のように思えます。
イイダ姫は意に染まぬ結婚から逃れられたけれど、宮廷は自分の居場所にするのはちょっと寂しくないですか?「礼知りてなさけ知らぬ宮の内こそわが冢穴(つかあな)なれ」と自分で言ってしまっているし。
『そめちがへ』
正直駄作だと思います。鷗外にも不得意なジャンルがあるのだなあと感じました。
同じ題材・テーマでも、山本周五郎がこれ(花柳界の女達)を描いたら、全然違ったのではと考えています。
『ふた夜』(翻訳作品)
"悲恋もの"というには、あまりにもはかない縁。昔の戦争は、ちんたらやっていたのですね。
感想は、以上になります。
それでは、また!