青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『天上恋歌 金の皇女と火の薬師』5巻 感想

ウクライナ侵攻の報道に日々心折られているのに、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第14回で上総広常が…あの手習いの話が、ここに結実するとか辛すぎ(※褒めてます)。せめて創作の世界では救いが欲しいです…(涙)

 

さて、先日4/14に発売された、青木朋先生の中華歴史漫画『天上恋歌 金の皇女と火の薬師』5巻のとりとめのない簡易感想です。

 

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表紙は円珠♪

 

評価:★★★★★(5つ★満点))

 

 

今回一番印象的だったのは、金のアイラパパや叔父さん、お兄さんズが首からかけている装飾品が、アイヌタマサイシトキに似て見えることです。。良く見たら、着物やゲル内の敷物の文様もアイヌのそれに似ています。アイヌは、かつて樺太や大陸と交易をやっていたというから、共通するものはあるのかな?

 

中央アジアのカザフとかでも、アイヌのそれと類似した渦巻模様が見られるらしいし(世界ふしぎ発見!だったかな?TVで見た)、下記リンク先にあるように、サハリンや北東アジアの各地でも類似した伝統文様が見られるそうです。こうやって見ると、「みんな繋がっているんだなあ」と思います。

 

irohacross.net

 

そして、某キャラクターについて。「私はどこにも行けない」「死ぬまで一生宮殿の中でひとりぼっち…」こういうことを作中人物に繰り返し言わせるということは、すなわち…

 

ちなみにウサギは、多産なところから古来「(子孫)繁栄」「豊饒」、そして「性」のシンボルとされています。可愛い顔して、ウサギは哺乳類随一の繁殖力を持つのだそうです。雑誌のプレイボーイのロゴマークがウサギなのも、その性欲の強さが理由ですって…

 

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ウサギが繋ぐ縁

 

ところで、ウジュ兄さんは後宮の敷地内で狩り(食料調達。犬同伴で)していたということで良いでしょうか?しかも皇帝一家以外"男"は入れないエリアで。禁中のセキュリティはどーなってるの?とつっこみたいです。

 

相変わらず(主要なストーリーの内容よりも)細かいところに目が行っています。『水滸伝』は未読ですが、同作品でおなじみの人物達が出てきたもよう。童太尉(童貫)、宦官なのに顎に髭が生えている…?と思っていたら、史実なのですね(驚)。え~、ちゃんと”とって”いなかったのではないですか?

 

他に(今更ですが)気になったのが、下図に描いた、冠に付属した横棒部分。

 

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皇帝もこの横棒ついています

 

これ、本当に当時こんな長さのもの着用していたんでしょうか?あちこちにぶつけるでしょ?絶対。振り向いたら(同じもの付けている)他の人とガキッ‼とぶつかるに決まっている(私ならそうなる)と気になって仕方がありませんでした。

 

主要なストーリーの内容について書いていませんでしたね。

今回は、火薬の重要な素材、硫黄の宋での調達について等、また火薬がいよいよ実戦に投入されていく流れなど、なかなか良かったと思います。皇帝と皇太子との不仲は、単に讒言だけではなくお互いの気質の違いからくるという描写や、康王はやっぱり父帝の子だと思わせるところ、金の状勢、進行する陰謀等、面白く読めました。勿論、描きこみの美しさも堪能しました。

 

しかし、皇太子殿下、不憫…それにしても、皇太子になっているくらいだから、母后の実家の勢力はそれなりに強いのではないかと思います。そのあたりの描写が欲しかったかな。あれでは、天鼓院の皆さんしか味方がいないように見えてしまいます。

宋の時代、火薬をどう調達していたかは、下記の3巻感想にて自分も書いています。

 

aoumiwatatsumi.hatenablog.com

 

はぁ、今晩は大河ドラマショックから気分はお通夜です。

 

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近所に咲いていたボタン

 

それでは、また!