青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

最近のアイヌ文化ブームについて

オリンピックやだな(´・ω・`) あんな連休、迷惑ですよ。

さて、昨日の記事『木彫り熊の申し子 藤戸 竹喜 アイヌであればこそ』展 感想を書いていたら色々と溢れて来たので、追記として雑文をあげます。

 

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アシリパさんは入れ墨入れないのかな

【目次】

 

もやもや

アイヌについては、漫画『ゴールデンカムイ』のお蔭で、そのイメージアップと復権がされているようで、それ自体は大変良いことだと思います。

北海道白老町にオープンした民族共生象徴空間」ウポポイのような施設を通じて、アイヌ民族の世界観を初めて知り、感動されている方も少なくないようです。昨日紹介した、『木彫り熊の申し子 藤戸 竹喜 アイヌであればこそ』展だって、その流れで実現したのではないかと思っています。

 

aoumiwatatsumi.hatenablog.com

 

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コロナで散々なスタートでしたね


北海道新幹線が実現した時、ポスターに正装したアイヌエカシ(「長老」の意)が起用されるなんて、こんな日がくるとは思いませんでした。

でもねえ、「それまで」がなあ…

今まで散々侵略・迫害をして、その伝統文化を否定して、あまつさえ拠り所となる自然を蹂躙して、同化政策を進めておいた上で、今更都合良く観光資源として利用しようとしているのにもやっとします。

 

最近復刊して評判が良いという、本多勝一氏原作・石坂啓氏作画のアイヌの暮らしを描いた漫画『ハルコロ』ですが、これ未完なのですよ。連載当時、右翼団体の圧力によって、肝心の日本政府による侵略・迫害の部分は描かれないまま中断しているのです。

 

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むか~し所持しておりました

 

 

 

 

どちらが"野蛮"なのか

イヨマンテ(「クマ送り」)のような祭儀も野蛮だ虐待だと言って禁止、もう実施されていないですよね。世界的に見ても、再開は難しいと思います。
(※正確には、「イヨマンテ」は、ヒグマに限りません。シマフクロウイヨマンテもあるそうです)


私は、民族文化映像研究所 制作の映画『イヨマンテ 熊おくり』(1977年)で内容を拝見していますが、「残酷」「動物虐待」という浅薄なご意見もあるようで、とても残念に思います。

 

パッと見には、アイヌが子熊(ヒグマ)を捕らえて育てた上で、殺して、首をさらす…なんて残酷!と思われがちですが、とんでもないです。

この祭儀は、ヒグマ(アイヌの世界では山の神=キムンカムイ)が、人間の世界にクマの(肉や毛皮)をお土産に持ってきてくれるのを、アイヌが(迎えた後)良いものばかり食べさせたりして丁重におもてなしするのですよ。最後はその魂をヒグマの身体から"分離"させて、見送りの宴と祭礼でもって、神の国へお帰り頂く、という大変重要な祭礼です。

だからイヨマンテ=(「カムイを(元の世界に)行かせる」 という意味)と言うのです。

こうしてアイヌ(人間)にもてなされたカムイは、それを喜んで、またお土産(クマ肉や毛皮)を持って、ヒグマの体でアイヌのいる現世へやってきてくれるのです。

 

え?そんなの人間側の勝手なストーリーを押し付けているのだろうって?

 

そうかもしれません。でも皆さんは、1度でも、1つの命をいただくために、これだけ心を込め手間暇をかけたプロセスを実行されていますか?それだけの重みを意識されていますか?

 

そもそも、毎日食べている肉や魚や野菜や稲(米)の命を自ら手に掛けていますか?スーパーやネット通販で死んだものを購入しているだけじゃあないですか?

 

誰かに殺させて。

 

その方が余程"野蛮"ではないでしょうか?

 

私も他人に"殺させて"います

…なーんてね、私も、ある農家さんで開催された「鶏を絞めて皆でいただく」イベントで、結局指定の鶏を殺す実行者にはなれませんでした。

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年取った鶏だったから、肉は超固かった

これが本当にチキン野郎?

 

実は、亡くなった父が、子供の頃(農家だった)家でウサギを飼っていたそうです

…食用のため。

 

あ~~~そこんところ、もっと詳しく聞いておきたかった!聞いておくんだった!!(後悔)

 

ウサギは、可愛いと思いますが、それはそれ。ウサギだってイルカだって、鯨だって、白菜だって、ミカンだって、等しく同じ命であることに変わりありません。

「可愛いから」殺して食べるなんて残酷、というのは、凄い差別意識を感じます。

 

世代交代が大きいのか

話がずれましたが、結局アイヌへの偏見、差別意識より興味・好意・リスペクトが目立つようになったのは、「世代交代」も大きいのかなあと思っています。結局、そんなに人は変われないから、古い偏見がある世代が亡くなっていくのを待つしかないのでしょうか…

今になって、持ち上げるのは、やはりもやもやしますけどね。それでも、アイヌアイヌは彼らの言葉で「人間」を意味するので敢えてこう表現します)が自分に自信を持ちやすくなるなら、悪いことではないと思いたいです。

 

それでは、また!