青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』村上 春樹 著 感想

年度末進行と簿記2級の学習と、腰の治療とでわたわたしております。

 

さて、村上 春樹さんの『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』を読んだのでその感想です。大体1日で読めちゃいました。

 

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ブックオフでゲット

 

評価:★★★☆☆(5つ★満点))

 

 

実は、丁度「ローマに行きたああああああい」熱がぶり返して(※コロナ禍のこの状況は無視)、家のローマ関係書籍を漁っていました(←勉強しろ)。

 

それで、ここ数日、『遠い太鼓』を引っ張り出して、ローマが出てくるところをめくっては読みふけっていました(←勉強しろ)。この本、良いんですよね、イタリアやローマの魅力だけでなく、マイナス面もきっちり書いていて。当時はこの作家も海外では無名で、イタリアやギリシャ等ヨーロッパに長期滞在していたその暮らしぶりも羨ましいです(大変そうだけど)。

 

 

村上 春樹の著書は、小説よりも、エッセイや読者との質疑応答の本が好きな私。『雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行』とかも、何度読み返したか分かりません。

 

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』の感想に戻りますが、一読しての印象は、「すっかり著名人となって、御大尽旅行されているな」というものでした。

今の村上 春樹は、世界中にファンがいる超有名人。本書では、アメリカの書店で買い物したら、気が付いた店員さんに沢山の本にサインを求められ、NYのジャズ・クラブでライブを聴いていたら出演者に「あなたの本を読んでいますよ」と声をかけられたり。交友のある作家仲間のポール・セロー氏(アメリカ人)のおすすめの(超一流)レストランに行って舌鼓をうったりしています。小説にトスカーナ産のあるワインを(好意的に)書いたことがきっかけで、醸造しているワイナリーに取材して、ご馳走になったりしちゃいます。

 

収録のエッセイの多くはJALのファーストクラスの機内誌に掲載のため書かれたものなので、それもあってブルジョワ臭がします(笑)

オレゴン州ポートランド郊外のNIKEの本社敷地内にあるジョギング・コースでジョギングをさせて貰う体験は、掲載誌からのオファーだったかもしれませんが、きっと「世界的な作家 村上 春樹」のネームバリューがあっての許可だったのではと推測します。

 

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春樹といえばジョギング

 

でも、それを非難しようとかそんなつもりはありません。自分の実力で勝ち取った現在だし、そうでなかった昔には二度と戻れないのだし。春樹は悪くはない、です。

 

ただ、過去の旅エッセイ集みたいに、読み返しはしないだろうなあと思いました。

 

「東京するめクラブ」の限定復活・熊本編もあったのですけどね。「東京するめクラブ」とは私の好きな編集者・写真家の都築 響一さん、スタイリストの吉本 由美さんと村上 春樹さんの3人で結成した、「旅ユニット」というべきもので、ちょっと妙な、変わったところへ行って楽しむゆるい活動をされていたのですが、その成果は『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』という本にまとめられています。

 

 

今回は、掲載がCREAだし、なんというか、オシャンティーな感じの記事で、あまり面白いと思えませんでした。文庫版では、熊本での写真は碌に掲載されていなかった(CREA掲載時にはもっとあった筈)のも減点対象です。海の上に建つ廃校となった小学校の建物とか、阿蘇で大量のトピアリー(常緑樹や低木を刈り込んで動物やキャラクターの形に作った造形物)を作るトウモロコシ屋さんとか、写真で見られないのが残念でした。

 

それでは、また!