青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『ジュゼップ 戦場の画家』感想

もうすっかり秋の気配ですが、湿気は何とかならないのかと思っています。

 

さて、『ジュゼップ 戦場の画家』という映画を地元の映画館で鑑賞しましたので以下感想です。実在の画家、ジュゼップ・バルトリの人生を描いたアニメーション映画です。

 

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上映時の観客は私入れて5名でした


2020年製作/74分/G/フランス・スペイン・ベルギー合作
原題:Josep
配給:ロングライド
https://longride.jp/josep/

 

評価:★★★☆☆(5つ★満点))

 

1910年にバルセロナで生まれ、95年にニューヨークで没した実在の画家ジュゼップ・バルトリの人生を描いた長編アニメーション。1939年2月、大勢のスペイン共和党員がフランコの独裁から逃れてフランスにやってくる。フランス政府は政治難民となった彼らを収容所に押し込め、冷遇する。そんな中、収容所を監視するフランスの憲兵と、難民の中のひとりの絵描きの間に、有刺鉄線を超えて友情が芽生える。風刺画家オーレルの初監督作品。2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション作品。日本では「東京アニメアワードフェスティバル2021」コンペティション部門で長編グランプリを受賞(映画祭での上映タイトルは「ジョセップ」)。

(※「映画.com」サイトより引用)

 

以下、手短に感想です。

鑑賞中は、それなりに、感動して観ていたつもりですが、見終わったら随分印象が薄い映画でした。沢山の賞を受賞している作品のようですが。

 

映画で一番印象的だったのがフリーダ・カーロの腋毛(笑)

 

尺が短くて、あまり情報量が少なかったからでしょうか。セネガル兵についての説明が無かったりして(フランス内では説明不要なのかもしれませんが)、食い足りない感じ。彼らは、あんなことをしてその後大丈夫だったのかも気になります。

 

収容所内で、まだ出会っていない筈のフリーダ・カーロの幻想が出現するシーンも、必然性が分からない。ここで出てくるなら、ジュゼップの生き別れた婚約者でしょう!!


メキシコで、トロツキーのことに言及するシーンがあるのは、ジュゼップ同様、彼もフリーダ・カーロの愛人だったから?

 

勿論、ジュゼップの収容所内で「描く」ことで生き伸びた、そのこと自体は素晴らしいモノだと思います。それに対比した、フランスの憲兵達の胸糞な振舞いの数々も、その結果…なことも、訴えたいのかもしれません。


私は「収容所もの」というと、ナチス強制収容所を題材にした本、映画等いくつか経験しています。それと比べると、申し訳ないですが凄く目新しい感じはしませんでした。これはこれで極限状況だったのでしょうが。

 

後、セルジュの孫がヒップホップを聴いていたり、街中のグラフィティに目を留めて描き写すシーンは象徴的です。要するにブラック・カルチャーなのですが、「持たざる者の手による表現」という意味では、ジュゼップの収容所内での「描く」という行為に通じるものがあると感じました。

 

観ていて全体的に、人生の不可思議さや余韻を感じられることもなく…私にはいまいちな作品でした。

 

戦争とアーティストの関係を描いた映画というと、『ある画家の数奇な運命』が思い出されます。

 

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長い映画だった~

映画『ある画家の数奇な運命』公式サイト

 

こちらはモデルとなったゲルハルト・リヒターが激おこだったそうですが、3時間もある長丁場でもしっかり見入ってしまいました。時空を隔てて、思いもよらない形でリベンジがなされるところも良かったし、ラストシーンで円環が閉じるような展開もぐっときました。出てくる作品も、元々リヒターのアシスタントをされていた方(作品は実際その人が作っていたようなもの)が参加されていたそうで。

 

あらら、『ジュゼップ』感想の筈が、話が逸れましたね。

 

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夏も終わりつつあるのかな


それでは、また!