青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『恋するシェフの最強レシピ』感想(ネタバレあり)

※盛大にネタバレしています


Amazon Primeで無料期間終了間近に、大慌てで金城 武さん出演の映画『恋するシェフの最強レシピ』を視聴しました。

f:id:aoumiwatatsumi:20210211152536j:plain

 

2017年製作/106分/香港・中国合作
原題:This Is Not What I Expected
配給:ハーク
評価:★★★★☆(5つ★満点))

 

 


あらすじ


冷徹なやり手の実業家(資産350億米ドル)で世界の美食に通じたグルマンでもあるルー・ジン(金城武)。ある時、のだめみたいな規格外な女、ションナン(チョウ・ドンユィ)と最悪な出会いをします。
実は、彼女は、ルーが買収した上海の老舗ホテルで働く、見習いシェフだったのです。たまたま、ションナンが天才的なひらめきで作った料理に魅了されたルーは、シェフの正体を知らないまま彼女に魅了されていきます。ションナンも、わがままな雇用主に求められるまま、才能を開花させていきます。
そうこうしていく内にお互いの正体を知り、食を通して、更に接近していく二人。ところが、ションナンを上回る腕とキャリアを持つジンの専属である美人シェフ(リン・チーリン)が立ちはだかり…

 


感想

 

冷酷でスパダリな実業家(でも実は孤独で愛を求めている)が、ド庶民の天然なドジッ娘(でもピュアなところがある)と出会い、反発したり危機を迎えたりした末に、本当に"大切なもの"を見いだしてゴールインする…ここまで読んで、既視感でクラクラされた方、大丈夫ですか?私もこの手の話には200回位接した気が(笑)

 

f:id:aoumiwatatsumi:20210211153136j:plain


今更なパターンですが、大変楽しく鑑賞しました。好きですよこの映画。

100分超の尺を使って、やっと最後に手をつないで肩を寄せる事になる二人。
途中、女子の部屋におじさんが来て、食事を堪能してはぐうぐう眠って何も無いという(笑)展開もあり、結局キスシーンも交尾シーンも無く、「これから」と感じさせる所がかえって良いロマコメでした。

 

お互いの正体を知らないまま、食を間にコミュニケーションを深める→孤食一辺倒だった男が、食の在り方―誰かと食べる楽しさ―を教えられる→危機を経て、女が自分には必要だと気付く男→お互いの思いを再確認後、初めて男が作った料理を二人で肩寄せて食べる…という話の流れも良かったです。ちょっと話が冗長かと思ったので★4つにしました。


昔から、「金城 武が好きだ」と言いつつ、作品は『レッドクリフ』の2作だけという体たらくですが、本作で3作目となりました。いや、良かったです。金城 武さんは当時、44、5歳との事ですが、イケメンはおじさんになっても素敵なんですね。彼は、ハンサムなだけでなく、チャーミングな魅力があるから好きです。


そんな金城さんが演じるジンは、気に入らない味なら、どんな高級料理でも一口で吐き出す傲慢さがありつつ、「出前一丁」を常にスーツケース一杯に携帯し、拘りの調理法で作って食べる一面もあります。これが、最後にルーがションナンに作って一緒に食べる展開が良いんですよ~ (*´Д`*)ポポンッ


食に関する言葉も中々深遠なものがあり、印象的。

「料理は心の暗証番号を解く鍵」
「皿の汚れが残っていないと客のことが分からない」
「食事はデリケートな問題なの」
「人の好みは変わっても習慣は変わらない」

 

そうそう、ルーのパパ(財界の大物)がある意味突き抜けていました。

「350億の金を動かしているんだ、我々は普通な訳がない」
「嫌われて孤立すれば、他人に影響されることも無い」
「私は心血を注いでお前をこんな嫌な男に育てた 感謝してくれ」

いやあ、中島 義道さんみたい…(笑)最終的に息子に「あなたは可哀想な人ですね」と使い古されたワードをぶつけられちゃいますが。

 

私の嫌いな10の人びと (新潮文庫)

私の嫌いな10の人びと (新潮文庫)

 

 

気になったのは、ルーやルーのパパが常時孤食なところ。中国人って(華僑でも)大勢でワイガヤ食べるのが伝統じゃあなかったですか?
後、本作は西洋料理中心で、火鍋以外余り中華な料理が出て来なかったような。中華料理こそ、フランス料理に代表される西洋の食に対してそびえ立つ、もう一つの偉大な頂きだというのに。