NHKの「カールさんとティーナさんの古民家村だより」は、京都大原のベニシアさんの後継的な位置づけで作っているのかな…と思っています。ターシャ・チューダー亡き後、ベニシアさんがクローズアップされたように。
さて、私がゴルゴ13で一番好きなエピソードで、”ゴルゴ13ルーツもの”の一つである、『すべて人民のもの』の感想です。
評価:★★★★★(5つ★満点))
写真の傑作集に収録です。ブックオフで購入して読んでいたら、著者のさいとう・たかをさん逝去のニュースが届きました。それでもずるずる感想をあげるのを先延ばしにしておりましたが、ソビエト連邦崩壊から30年経ったとの報道で、やっとアップいたします。
『ゴルゴ13』自体は、私の好みに合わない(女性の書き方とか。何あれ)のですが、
が、この『すべて人民のもの』は例外で、とても好きなエピソードです。”ゴルゴ13ルーツもの”であり、ロマノフ王朝の遺産を巡る、世界を股にかけた大河ドラマであり、非常に読み応えのある歴史ロマンの名作です。
また、この話は(1988年発表)、当時まだ日本ではそう認知されていなかった、スイスのプライベートバンクを早く取り上げている点でも特筆に値します。
ゴルゴの正体は決定的なことは明かされないのですが、もし作中で想定された人物だったとしたら、最後の狙撃シーンは中々重い意味を持ってきます。ここで、複線回収されるのも見事。
ストーリーには「骨肉の争い」がからみ、国際政治に翻弄されたある一族の悲劇であり、結構人が死にますが意外な事に、結末がとてもさわやかな読後感です。
そして、ラスプーチン! 作中、名前のみで一度も姿を見せないにも関わらず、一貫してストーリーにからむ存在感を示します。ラストは、死してなお、影響力を持ち続けるこの怪僧に思いを馳せずにはいられません。
同様のモチーフで描かれた沙村 広明先生の漫画『春風のスネグラチカ』を思い出しました(これも最後はさわやか~)。
ところで、この話に出てくる東条英機がワンシーンの登場のみですが、中々魅力的に描かれています。(勿論、実際の東条英機の為人がこうだったと言うつもりはありません。あくまで創作上の話です。)
”ゴルゴ13ルーツもの”のエピソードは、全体的に読者の評価が高いのですが、中でも最高傑作の声が高い『芹沢家殺人事件』は、良さは分からなかったです。ネタばれするので詳細は述べませんが、突っ込みどころ一杯で( ゚д゚)ポカーンでした。船戸与一さんが脚本を手掛けた『毛沢東の遺言』も、合わなかった感じ…
まあ、前述の通り、基本ゴルゴ13は私には合わないのですけどね。
今年もあと少し。まだし残したことがいくつかありますが、何とか終わらせたいです。
それでは、また!