今年の大河ドラマ、『鎌倉殿の13人』、第1回目視聴でもうワクワクしております。視聴率で叩かれていた『平清盛』が大好きだったし、永井路子先生の『炎環』も読んでいるので超楽しみです。
さて、先日日帰りで小田原箱根へアート巡りをしてきたので、その記録です。まずは、小田原の『江之浦測候所』訪問について。
【目次】
小田原文化財団 江之浦測候所 とは
現代美術家、杉本博司氏が設立した「小田原文化財団」。その活動拠点として創られた「江之浦測候所」は、杉本氏の世界観を体現する芸術的な展示施設です。小田原市江之浦の、かつては蜜柑畑だった斜面を工事して、造られています。
↑小難しいことを言っておりますが、要するに、ヒロシ、いや杉本博司が好きなアート好きさんがその世界観に浸れる展示施設です。
私は「博司ラブ」とまではいきませんが、結構この作家さんが好きなので、以前から行きたいと思っておりました。昨年秋は、簿記3級の試験勉強に泣きながらここと、箱根のポーラ美術館へ行くことを妄想していました(現実逃避!)。
やっと行けて嬉しいです。とっても良かったですよ。
この施設は完全予約制です。イベントがある日・休みの日は人気があるので、余裕をもって予約された方がいいかと思います。また、ペットを連れての入場や、中学生未満のご来館はご遠慮いただいているようです。
いざ、小田原へ!
1月8日(土)の午前中に来館を予約したので、朝早起きして出発です。東京駅で東海道新幹線に乗り込みます。…新幹線に乗ったのって、何年ぶりだろう?
小田原駅から東海道本線に乗り換え、根府川駅で下車。ここで送迎バスに乗り込み、やっと江之浦測候所駐車場に到着です。
江之浦測候所の入り口まで、山道を上がっていきますが、途中にも下の写真のようなものが見られます。木彫の鳥です。
入館口の所まで上がると、なんとオープンテラスのカフェがありました。寒いのにご苦労様です。帰り際に寄ろうと決めて、歩を進めます。
江之浦測候所へ入館
時間になったのか、開門になり、入り口で体温チェックや手指消毒・チケットと引き換えにパンフレットを受け取って入館します。
入って左奥の「待合棟」では、ロッカーとトイレがあると説明を受けます。以前はこの建物で見学前の説明の時間があったようですが、コロナのせいかそれは無かったです。
この「待合棟」、地下にあるトイレまでの順路も、杉本博司していてステッキーな場所でした。博司様の写真の作品も展示されていて、色使いとかいちいち素敵。
昨年の大河ドラマ『青天を衝け』の題字も、展示されていました。この字に関しては(以下自粛)
適当に歩き回りました
いただいたパンフレットに、全体の地図やポイントの説明が記載されています。これに従って進めば良かったのですが、なんだかめんどくさくなってしまい(笑)興味のある所へと行き当たりばったりで歩き回りました。
まずは入場してすぐ右手にある、「夏至光遥拝100メートルギャラリー」へ。下の写真左の建物です。建物右手の敷石の道は、以前ここでファッションショーを開催した時、ランウェイとなったそうです。
言い忘れていましたが、この江之浦測候所は、小田原の海に面した斜面にあります。
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」は、夏至の朝、海から昇る太陽光が数分間この回廊に射すように計算して建てられているそうです。
昔の寺院建築は、夏至・冬至や春分の日・秋分の日の太陽光が射すことを計算して建てられているものが多いです(宇治の平等院鳳凰堂とかね)が、こんな仕掛けだけでも(*´Д`)ハァハァしてしまいます。
「冬至光遥拝隧道」なんてものもあります。
「冬至光遥拝隧道」は、途中で外とつながっています。上の写真の地点からもっと海側に寄ったトンネルの入り口も素敵なんです。
扁額として使われている大理石のレリーフ(生命の木のモチーフ)は、ヴェニスの商館のファサードとして使われていたそうです…嗚呼、こういうもったいぶった素材ばかり使うのが杉本博司という感じです。スカしているな~というか。
でも、博司のこういうところ、私は結構好きなんです。
さて、このトンネルを抜けて外に出ると、またもったいぶった舞台が用意されています。「光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席」です。「古代ローマ円形劇場写し観客席」は写真に撮らなかったですが、ここから撮った写真が以下になります。
杉本博司と言えば、海、そして水平線です。
他にも、茶室「雨聴天(うちょうてん)」なんてありました。利休の茶室「待庵」の寸法を写して作られていますが、ただし!屋根はこの土地に古くからあった蜜柑農家の小屋のトタン屋根を転用しているそうです。利休が今生きていたら、きっとこの素材を使っていたぜ~!!という博司様のひらめきによるものです。
そう、雨でトタンの屋根が音をたてるのを茶室で聴く、だから「雨聴天」という名。
ここも、面白かったです。まずは茶室の躙口前に置かれた光学硝子の沓脱ぎ石。春分・秋分の日には陽光がここに射しこむように計算されているようです。さすが博司!おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!
この茶室に飾られた掛け軸を見て、ん?となりました。
「日々是好日」と良くある言葉かと思っていたら…
以前、京都の展示でも、「日々是荒日」と題したものがあったようですが、さすが博司!(以下略)
他にも、竹林エリアとか、蜜柑畑の中を行ったり、あちこちに楽しい展示がありました。写真撮りませんでしたが、化石や古道具を集めた小屋とかも。
上の写真の真ん中の石は、広島原爆投下時に爆心地付近にあった石造宝塔の塔身部分だそうです…(どれも由緒ありすぎ。もうお腹一杯になってきた)
しかし、場内にあった小さな石仏なんて、マニアが持ち帰らないかとちょっと心配になりました。
思わぬ再会
実は、見学中、昔の知り合いにバッタリ会ってびっくりすることがありました。まさか小田原で!腰抜けました…
(マスクをしているのに)向こうから気が付いてくれたのもびっくりですが、それに加えて、この後のことで便宜を図っていただきました。Sさん、本当に有難うございました。
正直、当時色々失礼をしてご迷惑をかけてしまった相手だったので、今回のことは非常に申し訳なかったです。私はこのようなご親切にふさわしい人間ではないと思うので…
さて、江之浦測候所に関しては、以上となります。この後午後は箱根のポーラ美術館へ移動となりますが、それについては後日アップいたします。
それでは、また!