青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

2021年 育児・介護休業法改正について思うこと

長倉洋海さんの写真が昔から好きなので、今のアフガニスタン情勢を聞くたびに辛いです。

さて、「男性育休義務化?」と世間で言われている 2021年の改正 育児・介護休業法について、思うことを(アホなりに)書きます。

 

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賽は投げられた

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」が本年令和3年(2021年)6月3日に成立し、同月9日、公布されました。
改正法の趣旨は、「出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、特に男性の育児休業の取得の促進を図るとともに、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、所要の措置を講じようとする」ものだそうです。

 

businessandlaw.jp

 

※今回取り上げる法改正の内容は、男性育休取得に絞って取り上げます。それだけではないのですけどね。

 

自分が働いている会社も影響があります。私は只の末端の人間ですが、間接的に業務に関係があるし、概要は理解しておかなくてはならないな…といったところです。

 

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お上の言われるままに~

 

私は頭がよろしくないので、この件についてあまり賢い理解や洞察をすることは無理であります。ですが、しっかり理解して落とし込むまで考えていたらいつまでも終わらないので、取りあえず、改正ポイントを拾い読みして、自分の頭なりに感じたことを忘備録として書いておきます。

 

法改正で今後のおおまかな流れとしては、こんな感じ。

 

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パワポで作った(※バカ)

 

 

今回の法改正で義務化となったのは「事業主側の労働者への個別の周知・意向確認」です。

 

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あくまで「労働者の取得義務ではない」、そう…

 

(パートナーの)妊娠・出産を届け出た(男性)労働者に国が定めた男性の育休制度を周知して取得の意向確認をしなくてはならない。
「努力義務」ではなく、「義務」です。社内に啓発ポスター貼って「うちの会社も啓発に努めています!キリッ」と言っていれば良いレベルではないのです。

 

そして、これはあくまでも事業主側の義務であって、当事者の「取得の義務化」ではありません!と言われても…結局企業には、当事者となる従業員に何が何でも取らせるようにするよう仕向ける法改正ではないでしょうか。

 

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事業主からの個別の周知は絶対にしろ、とのこと

 

だって、令和5年(2023年)4月1日からは「対象の企業(常時使用する労働者数が1,000人超の事業主)に対し、育児休業の取得状況の公表を義務付け」ですよ?

 

要するに大企業です。そして、「公表義務違反は、行政による是正勧告に応じなかった場合、企業名公表の対象となる(改正後の56条の2)」。

 

そう、再来年4月1日から、大企業は男性育休取得率を公表しなくてはなりません。

 

しかもそうして公表された男性育休取得率が(公表しない場合、"そのこと自体"が)その企業を評価する指標の一つとなっていくようです。

 

ということは、いくら

「うちの会社は本人へ制度の内容も、取得ができることも知らせています!、社内制度も対応するものを制定して周知を徹底しています!(`・ω・´)キリッ」

 

と言っても、男性育休取得率の公表時もしも0%という結果になった場合…

 

国に対して……

 

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進撃の巨人』1巻(諫山創 著/講談社)より引用

 

…これで、すんなり了解してもらえるでしょうか…済まないですよねえ、絶対。

 

こうなるでしょ?

 

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風の大地』61巻(坂田信弘かざま鋭二著/小学館)より引用

 

: (((;"°;ω°;)):ガクガクガクガクガクガクガクガク……

 

男性育休取得率の公表を目標に掲げている時点で

 

「ちゃんと結果(取得率)を出せよ?分かってるだろうな?(^言^)」

 

と言っているようなものではないでしょうか。

 

私が恩恵を受けている障害者雇用率制度だってそう。
法定雇用率未達成の事業主は、障害者雇用納付金を納付することとなっていますが、単に「お金納めていればいいんだろう?」では済まないのですよね。

 

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行政に睨まれてはやっていけない

 

障害者雇用の未達成による「企業名公表」は、企業のマイナスイメージにつながります。行政からの、投資家達からの、企業が求める人材からの(今は人手不足ですから)評価の指標となることは、おおげさではなく存亡の問題にも関わってきます。

 

しかし会社も、(男性の)従業員で、いつ誰に子供が生まれるか把握する体制を作っておかなくてはならないでしょうね。女性なら、妊娠するから否が応でも職場への報告は早くからしないといけないでしょうが、男性なら事情が違う。

 

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女性の産休・育休とは事情が違う

 

今までなら、下手すると所属部署では皆知っていても、男性社員に子が生まれたことを人事が把握するのは「扶養家族が増えます」と生まれてからの申請で…とかではないでしょうか(こんなこと考えるのは私みたいな横のつながりの無いコミュ障だけ?)。

そして、出産前に事前に取得できるように前もって所属部署に働きかけたり調整が必要になるでしょう。重要な顧客との取引は他の人に引き継ぎしたり…色々ありそう。

 

それから、今は、結婚・子の誕生という慶事でもプライベートなことは、あまりオープンにしたくない人も増えています。男性育休取得の実績が出来ても、それを更なる制度の周知・啓蒙のために事例として社内に紹介できるかどうか。

「○○さんも取ったって」「こんなに皆とっているよ、皆取りましょう」というのが制度の浸透には大きいと思うのですが。

 

でも、行政から「やれ」と言われた以上、やらないといけない。もう決まっちゃいましたから。

 

育休とるお父さん達が、ちゃんと育児やパートナーの世話に従事するのかという問題がありますが、それはまた別の時に。

 

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当事者達は大丈夫なんでしょうかね

 

それでは、また!