青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

ネスレや持続可能性、CSVなどについて―そして野口健

今朝受講した、オンライン英会話の先生、合いませんでした…(›´ω`‹ ) ゲッソリ

 

さて、最近、持続可能性、CSVについて調べたり感じたことをいくつか記録します。  

かなり古い本ですが

 

【目次】

 

なんとなく好きではなかった「持続可能性」etc.

(盛り上がっているのは日本だけ?なんて噂も聞きますが)今、SDGsやら持続可能性やら、ESGやらCSRやらCSVやらが社会的に良く耳にするようになりました。かく言う私の勤め先でも、そういったことを推奨する空気となっております。

 

自分は、これらの空気に対して、ふわーんとした理解のみなくせに、うっすらとなんとなく好きではないな、という(ありがちな)スタンスでいました。

しかし、会社がこれを推進すると言っているので、ある程度知識を持っていた方が良いのかな…と自社で策定された持続可能性に関するメッセージをまず読み、薄~くですが読書やネットサーフィンなどでもそもそお勉強を始めておりました。

 

ネスレマイケル・E・ポーター教授、CSVについて

そんな中、ブログでつながりのあるくま坊 (id:kumabou2016)さんが、スイスの食品・飲料会社であるネスレや同社に関係がある経済学者マイケル・E・ポーター教授について書かれた過去記事に今になってやっと注目していたのですが…

 

www.kumabou.com

 

上記記事のとおり、マイケル・E・ポーターさんが提唱し、ネスレが早くから経営に取り入れていた(2000年前後から!SDGs採択より15年も前の話です)という、「社会的価値と経済的価値の両立、社会的課題を解決することで、企業価値を高める」こと…出来たら良いけど、そんなこと実現出来るの?という不安が記事を拝読していて若干ありました。

 

ネスレ野口健氏との関係

さて、話は変わりますが、今年の初夏頃に『さよなら、野口健』という書籍をやっと読み終わりました(※2022年刊行)。

 

強烈な本でした

 

 

”登山家”野口健氏は、毀誉褒貶がかなり激しい人物かと思いますが、この方の真価は(登山家の世界で評価される登山活動よりも)、着眼点や新しい枠組みを作ってしまうパイオニアの面と、そして一旦「これをやる」と決めたが最後(”やりたい”止まりではなく)、多くの人々や組織を巻き込んで本当に実現してしまう面で、その凄まじさが上記の本で書かれているのですが。

主な実績を上げると「七大陸最高峰登頂最年少記録」「エベレスト清掃登山」「富士山清掃登山」「シェルパ基金(ヒマラヤ高所登山で亡くなったシェルパ族の遺児の学業・自立までをサポートする基金)」、その他、熊本地震や今年初めの能登地震に関する救援活動など、色々あり、これらで実際に助かっている人々もいるのを見ると、一概に否定はできないな…と読んでいて感じました。

 

被災地のテント村とか、貢献度が凄い

まあ、光有れば影ありで、マネージャーなど側近へのモラハラパワハラはホントいかんと思いますが。

 

話を戻しますが、野口氏がぶち上げ・実行してしまった「エベレスト清掃登山」隊活動、これは大変なことです。エベレストの(ベースキャンプより上の)山域に入るのには、1人1万ドルの入山料をネパール政府に支払わなくてはならないそうですが、そこまでして登頂を目指さず、本当に過去の登山隊が遺棄していったゴミを拾って回収する…

しかも、8000mもの高所では、当然空気は希薄だし天候急変や雪崩の危険もある、そんな中で重い荷物(回収したゴミ)を持って下山する…当時かなり批判があったようですが(ヒマラヤでゴミ拾いするために大量の化石燃料を燃やして大勢ネパールへ行くわけですし、環境負荷を考えたらそんなに良い活動か?とか)、環境問題への提言であり、社会的なインパクトも大きかったようです。

 

さて、それが評価されたのか、2000年に野口氏はネスカフェゴールドブレンドのCMに出演されました(つまりネスレが野口氏を広告塔に起用した訳です)。

 

ダバダ~♪

 

このくだりと、くま坊(id:kumabou2016)さんのブログにあった、「ネスレが2000年前後から社会価値を経済価値に置き換える経営を進めている」…という内容が私の脳内で結びつき、「ああ~!?そういうこと?」と大興奮になりました。

勿論妄想にすぎませんし、スイスのネスレ本社が各国のネスカフェCMの出演者にどれだけ口を出しているかは分かりません。むしろ、当時のネスレのCEOであった、ピーター・ブラベック=レッツマット氏が、かなりの登山ガチ勢(南米最高峰のアコンカグア(6960.8 m)にトライするレベル)であったことが大きい気もしますしね…結局、推測止まりです。

 

ところで、野口健氏は、コーヒーが飲めないそうです。CMでは赤ワイン飲んで、CGで湯気を付けたものを放映していたそうです(笑)

 

論文『Creating Shared Value』を読む

くま坊さんの記事でご紹介があった、マイケル・E・ポーター教授の論文『Creating Shared Value』も読みました。Kindleで495円だから、読めなかったら途中でやめよ、と思いつつ。

 

 

それが、この論文、私にはとってもワクワクして読めました。特にロケーションの再評価やクラスターについての下り(企業の拠点がある地域への補完的な投資の重要性)とか、サプライチェーンの大々的な見直しの下りが。私は『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版』という本が好きなのですが(物流業界にいますし)、コンテナリゼーションがグローバルサプライチェーンを作り上げた、その後に世界が「こう変化してきたのか!」と歴史的興味から、読んでいて非常に(*´Д`)ハァハァしてしまいました。

 

 

そう、私がビジネス書などを読むのは、ビジネスだ経済だ、というより、歴史としての興味なのです。人間ドラマの側面がないと心惹かれないといいますか。

 

倫理的判断ではない

とは言え、私は末端の人間なので、実際に会社の中でCSVを実現していくなんてことは分かりません。その辺りは、「上」の方々の役目ですし。

後、ポーター教授の論文にも通じますが、『知られざる競争優位―――ネスレはなぜCSVに挑戦するのか』という本の中(ピーター・ブラベック氏へのインタビュー)で、「私たちが会社を健康企業に位置づけし直しているの(※CSVの実現)は、倫理的な判断からではなく、商売上の判断です」と明言されているのにはスッキリしました。

 

 

ポーター教授もブラベック氏も、資本主義下での競争を否定していないのです。共通価値の創造(CSV)によって、自社の事業に他社との競争上の優位を産む(水をあける)。そこがキモなのだと思います。

そうですよね、SDGsの採択だって、利己的な判断でなされている、そう考えて良いと思います。あたかも「倫理的に良いこと」みたいに世の中で宣伝されているから、もやぁっときていたんだな…と。

 

安心しました。その方がずっと信用できます(笑)

 

花~

 

それでは、また!