青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『Coda コーダ あいのうた』感想

簿記2級の試験勉強、〇レ〇ールの通信講座では分からなくて絶望していたら、ふくしままさゆき先生の動画で救われました。まだまだお世話になります!ふくしま先生(´;ω;`)ブワッ

 

さて、今月1月21日(金)から全国公開の『Coda コーダ あいのうた』という映画をTOHOシネマズ 錦糸町 オリナスで鑑賞しましたので以下感想です。2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイクだそうです。

 

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ヒロイン以外の家族は全員本物の聾唖者が演じている


2021年製作/112分/PG12/アメリカ・フランス・カナダ合作
原題:CODA
配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/coda/

 

評価:★★★★★(5つ★満点))

 

海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。(中略)「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じる。(中略)タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults= “⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども”」のこと。

(※「映画.com」サイトより引用)

 

以下、手短に感想です。

とってもとっても良かったです。ストーリーは、シンプルで始めから最後まで展開が予想がつく、良くある話なのですが、しみじみ心温まるヒューマンドラマでした。愛と音楽に満ちた良作です。

 

演出も、俳優たちの演技もとても繊細で、主人公のルビー役のエミリア・ジョーンズがかわいいし歌も上手いのですが、彼女以外の家族(両親・兄のレオ)を演じる俳優さん達が実際に聾唖者で、皆さんとても演技が達者。障害があっても漁師として堂々として働き(お母さんは地上でサポート)、みんな性的にも奔放(笑)。

 

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家業はトロール船の漁師です

 

そんな家族について学校でからかわれたりするけれど、ティーンエイジャーのルビーは家業の漁を手伝い(朝3:00起き‼)、仲買人との交渉その他の通訳を務める偉い子です。その後には学校にも行く(授業では爆睡)大変な生活を子供の頃からこなしています。

 

そう、ちょっと出来すぎた子なのです。家族は仲が良く結束は固いのですが、一人だけ健聴者(普通に耳が聴こえる、要するに健常者)である彼女が「家族の通訳」として必要とされながら頑張りすぎて、年相応な暮らしをしてこなかった部分が見えてきます。

 

皮肉なことに、ルビーには歌の才能があることがわかってきます。家族の誰もその才に気づく耳を持っていないというのに。

 

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ヒロインは歌の才能豊か

 

家族のために一旦は音楽の道に進むのをあきらめるルビー。でも難聴者のお父さんがそんな娘の歌の才能に気付くシーンが凄いです。ここは映画で実際に観ていただきたいです。

 

クライマックスでの手話の使い方も上手いです。ここで、家族の中で唯一の健聴者という疎外を感じていたであろうルビーが愛する家族に”じぶんのうた”を歌いかけ、新たに繋がりを生み出そうとしている様が美しく表現されています。

 

人はお互い求め合うということ。そして「伝えたい」という想い。

ベタな展開ですが、おすすめな映画ですよ。

 

余談ですが、ストーリーの中で、ルビーのお父さんをはじめとした漁師達が漁業組合と揉めて(獲った魚を安く買いたたかれる等)、自分達が直接魚を消費者へ販売しよう‼と行動を起こすのですが、ヴィスコンティ監督の映画『揺れる大地』を観ている身としては、「ダ、ダメー--‼」と思ってしまいました。

 

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『揺れる大地』は、観ていていたたまれなくなりますが、これはこれで傑作です。


それでは、また!