蒸しっとするせいか、前夜に悪夢を見てしまいました、こんにちは。
さて、東京駅の東京ステーションギャラリーにて開催中の『コレクター福富太郎の眼』展へ行ってきました。とても良かったので、手短に感想です。
昭和のキャバレー王として知られた福富太郎氏が収集した美術コレクションの全貌を紹介する展覧会で、今回日本画・洋画など80余点を出品とのことでした。
個人的には、好きな鏑木清方『妖魚』が出ていたのが嬉しいです。
後は、伊藤深水の『戸外は春雨』、秦テルヲ『妊みの祭り』が特にお気に入りでした。
美人画が中心ですが、モデルが室内でじっとポーズをとっているような絵よりは、
動きがあり時代の風俗を伝える側面もある絵が多かったような。
例えば、前述の『戸外は春雨』は日劇ミュージックホールの楽屋裏の群像劇となっていて、どちらかというと漫画家やイラストレーターが描くようなテーマです。
好きなのをいくつか。伊東深水『戸外は春雨』、日劇ミュージックホールの舞台裏だそうだ。生き生きしてる。キャバレー王がこれをコレクションに入れたというのが好い。松浦舞雪『踊り』、踊る身体の表現がとても好い。 pic.twitter.com/b7Z2uiqTij
— kul (@kulkaraku) June 6, 2021
戦争画もいくつかあったのですが、藤田嗣二の千人針の絵もその時代の記録にもなっています。また、日本の茅葺屋根の古民家の絵で知られる向井潤吉の若い頃の絵(労働者が一服している絵)があって、作風の違いに意外なものを感じました。
それから、今更ですが鏑木清方頃までの日本画では、西洋画のような陰影で表現はしていないのだな、と確認できました。それより後の、陰影や描写の抑揚で遠近感を出す洋画風の表現を取り込んだ日本画もありましたが。
福富太郎氏は「投資として」の収集よりも、(作者問わず)自分が好きだと思う絵を集めたようです。
非常に充実した内容の展覧会でした。
(2021/6/27まで開催)
それでは、また!