青海のブログ

本や映画、展覧会の記録と感想等。時々、発達障害について。

『一流の頭脳(アンダース・ハンセン著)』感想

緊急事態宣言、どうなるでしょうかね。

で、以下は1年くらい前に書いて某所に載せようかと思った本の感想文です。

 

一流の頭脳

一流の頭脳

 

 皆さん、運動はされていますか?


今回ご紹介する書籍『一流の頭脳(アンダース・ハンセン著/御舩由美子訳 サンマーク出版)』が主張する内容は「運動しなさい」これに尽きます。

本書によると、脳の性能を存分に発揮させるには、運動する事が最も効果的とか。著者は脳科学研究の膨大なエビデンスを下敷きに、私達が運動(心拍数が上がる程度の有酸素運動)をする事のメリットをこれでもか!!とレクチャーしてくれます。こういった話題はだいぶ浸透してきたように感じております。

では、どの程度(有酸素)運動をすれば脳はその性能を発揮できるのでしょうか。個体差や環境の差はありますが、推奨されている内容は、後述の通り。

  1. ランニングや水泳で少なくとも週2,3回(最低3週間続ける)
  2.  1回30~45分程度行う
  3. 心拍数が上がる程度やるのがポイント

フルマラソン等疲れすぎる程度の運動は、脳力発揮の面では逆にマイナスの結果が確認されています。「長時間の運動1回」よりも、「短時間の運動を数回」こつこつ続けるのがキモだとか。ウォーキングは効果はやや劣るようですが、やらないよりかはやった方が絶対良いようです。


簡単にご説明しますと、私達の脳と身体は、1万2000年前の、サバンナで狩猟採集生活をしていた頃からほとんど進化をしていないそうです。当時身体を活発に動かす事はより多くの食料を得る事につながる…つまり生存の可能性を広げる行為でした。

よって、運動をして心拍数が上がると、脳が生死に関わる事態と判断し、集中力や注意力、思考判断のスピードが上がり、記憶力が向上するよう働きます。長時間走り続ければ多幸感と鎮痛作用のある「ランナーズ・ハイ」現象が起こりますが、これはあきらめずに獲物を追う為の仕組みと説明がつきます。

運動後の集中力向上に関しては、数時間~1日程度しか持続しないそうですが、運動を習慣づければ、定着し、向上していくそうです。脳のアップグレードや老化防止さえも可能になるとか。そうそう、お子さんがおられる方は、勉強の前に運動をさせた方が成績に高い効果が見られるそうですよ?

創造力への効果へも言及されています。「走る(or水泳)」習慣で知られる作家の村上春樹氏や、アインシュタインが「自転車をこいでいる時に」相対性理論を思いついた事、ベートーヴェンダーウィンに「長い時間の散歩」の習慣があった事等。

サバンナにいる(つもりの)脳と身体に対し、現代の私達の生活と環境は激変し、1日座ったままPCやスマホにかじりつく事も珍しくありません。座り続ける事の弊害についても語られています。現代の心や身体を病んだ人の多さは、「身体」とそれを取り巻く「環境」の矛盾に他なりません。

運動の習慣は、うつ病等の精神疾患や、ADHDにも少なからぬ効果があるそうです。それにストレスや不安な感情への耐性も身につくメリットもある…といい事ずくめです。

最後、あとがきページを開いたら「ただちに本を閉じよう 外へ出て、身体を動かそう!」と書かれています。うーん、最後までぶれない(笑)